ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ダークマスター VR』
おちついてくると、自分の意思や身体と、VRとの差異を面白がれるようになってくる。当方左利きの女性ですが、右にお箸を持たれる違和感がいちばん強かった。で、その手がなんかかわいらしかったんですよ。映像はFOペレイラ宏一朗さんのものなんだけど、ちっちゃくて華奢で。実感よりちょっと遠くにある(ように見える)こともあり、なんだかこどもの手のようでした。デリヘルといたすところはそんなに……(笑)この辺はVRに触感があればまた変わるかな。でも息遣いや唾液が垂れる様子、相手の毛穴をめちゃくちゃ至近距離で感じるところにはやはりドキドキしました。いや、自分は見られていないという安心からか、むしろまじまじと相手を見てしまったな。オチはご愛嬌でした。ふと思う、これレイティングあったっけ? 終演後調べてみたら、R12だったようです。ははは。
マスターから店を引き継ぎ、いつのまにか料理の腕だけでなく、その感覚迄共有することになるという『ダークマスター』のストーリーは、VRという手法にぴったりでした。指令用のイヤフォンを耳に入れられるときのノイズ(これは鳥肌立った!)、呑めない酒を口にするとマスターが酔い、デリヘルとやってるときにマスターがうめく。その声がイヤフォン(実際にはヘッドフォンだが)を通して直接耳に届く。さて、自分もやがて「階上のマスター」になるのだろうか? 次の「マスター」はいつ来店するのだろう? 再び女性の声でアナウンス、ゴーグルを外すと隣の席がうっすら見えるようになっておりギョッとする。自分と他人の違いをまじまじと眺めて終演です。
『ダークマスター VR』ゴーグルがなかなか重いです。ひとりひとり仕切られた空間に座って体験するのでなんとなく風俗店ぽい(その仕切りがマジックミラーぽくなっててうっすら隣が見えたりする)。気分は『六月の蛇』のこれ pic.twitter.com/oOMfzNgRWB― kai (@flower_lens) October 10, 2020
『ダークマスター VR』ですっかり洋食脳になったので新宿に寄ってオムライスを……劇中マスターが「このご時世外食するやつが減っちまった、テイクアウトばっかりで」とかいってましたが。近いうちイートインで〜 pic.twitter.com/3NwEWTPN38― kai (@flower_lens) October 10, 2020
すっかりあてられてふらふらと退場。雨のなかオムライス(と、実はコロッケも買った・笑)を手に帰宅しました。いやー面白かった、VRを体験しに劇場へ足を運ぶという過程からして、サイトスペシフィック演劇な側面もあり非常に楽しめました。
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・「ダークマスター VR」タニノクロウ インタビュー / FOペレイラ宏一朗が語る稽古場┃ステージナタリー
「今回、配信はせず、少人数でもある種の緊張感がある劇場で観てもらいたい、劇場でやる必要があると思っています」。当初は通常の舞台として上演する予定だったそうです。案があったとはいえそこからよく思い切ってこの上演形態にしたな、これだけの品質のものをつくったなと感嘆。コロナのおかげとは絶対いいたくないが、この「転んでもただでは起きない」スピリット、見習いたい。
「なるべく中性的というか、主人公の性別が特定されないような感じで作ることは心がけました」。いわれてみれば、劇中で性別は明かされないんですよね。過去観た記憶からの男性だと思い込んでいた
・「ダークマスター VR」開幕、タニノクロウ「新しいライブの感覚を作りにきてください」┃ステージナタリー
劇場内の様子はこちらの画像で。動線のデザインからして美しい、流石ペニノです
・最新のVRで“香り”と“味”の体験が可能に。仮想空間に「食」の可能性は広がるか┃BAE
2019年の記事。カートリッジが仕込んであるのね。やがて味も体験出来るようになるらしい
・そういえば今回の上演では「携帯の電源を切ってください」だった(KAAT、SePTでは「機内モードに設定し、Wi-Fiをオフにし、Bluetoothをオンにして、アラームを切るのを忘れずに」だった=参照)。機器に影響あるとかかな
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10月10日(土)
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