ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『大地 Social distancing Version』
そして今回の「成長する若者」、濱田龍臣。かわいがられ、守られる存在だった収容所時代と、その追憶を辿る現代(だろうか?)。ふたつの時間を演じるのは彼だけだ。ひとは変われるが、そうは変われない。気の優しい、声がちいさい(そう感じる。しかししっかり台詞は通る)彼が誰かを、何かを守るときが来たとき、どんな行動をとるのか。次世代に何を伝えてくれるのか。それを見たいと思わせてくれる演技でした。今回の座組最年少、2000年生まれの19歳(!)。『龍馬伝』のあの子がこんなに大きくなって……! 今後も楽しみ。
幕が開いた一週目ということや、これ迄とは違う注意点が多い舞台ということもあり、演者にはまだこなれていないところがあったように思う。思い切った動きや発声の範囲を測っているように感じられたところもある。これはやる側も観る側も、徐々に慣れていくしかないだろう。何しろこんな環境で舞台が上演されるのは初めてのことなのだ。演劇や物語を全く必要としない政府の役人が、役者たちの他愛のない(そう描かれていたと思う)芝居によって右往左往させられる場面に胸がすく。非常時におけるエンタテイメントの必要性、という難題には、これからも向き合っていかなければならない。
荒涼とした大地に建てられたバラックのような収容施設(美術:堀尾幸男)は、八百屋舞台によりどの居室も客席から見えるようになっている。奥であればある程勾配が厳しいと思われるが、その最奥中央が浅野おじいちゃんの居室だったというところが恐ろしい(笑)。寒空の自然光を表現する服部基の照明も素晴らしかった。
終演後鳴りやまぬ拍手にまたもや三谷さん、「カーテンコールはありません、皆さっさと帰ってください! 役者さんは出てきません、浅野さんは次回の上演に向けて眠りに入りました!」なんて憎まれ口。笑い声とともに、客席からの拍手はしばらく続いた。あの拍手は「なんかくれ、おまけくれ」といった悪ノリの拍手ではなく、舞台を開けてくれたひとたち、舞台をつくりあげてくれたひとたちへの、心からの感謝と激励の拍手だったと思う。
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役者だけでなく「劇場」の容貌も観られるのがうれしいティザー
・【舞台動画あり】三谷幸喜の新作舞台『大地(Social Distancing Version)』が開幕へ! 初日前のフォトコールをレポート┃SPICE
・PARCO劇場再開!劇世界とコロナ禍が交差する、三谷幸喜「我ながら先見の明あり」┃ステージナタリー
詳しくは後日長文の方に書きますが、竜星さんの所作綺麗だなーと思ってパンフを見たら pic.twitter.com/SD0SZWoIh4― kai (@flower_lens) July 5, 2020
出演舞台が次々と中止になり、悩み悲しみつつも配信等新しい試みに次々と取り組んでいる篠井さんの様子はtwitterで毎日のように目にしていた。そしてこうして舞台に関わっておられる。知ることが出来てうれしかった。
一緒に写っているのは来場者登録のご案内。万が一感染者が出た場合連絡がとれるように、観劇日時、席番、個人情報等を提供するようにとのこと。今後必須になっていくのかな
・入場時に検温と手の消毒、というのはもはや何度も経験しているが、靴底消毒(劇場入口だけでなく、トイレ出入口にもあった)は初めてだった。だよなー鳥インフルが出た地区とか小笠原諸島に入るときもそうだもんなあ。この徹底ぶり、信用したいし感染者出てくれるなと祈るような気持ち
・宝塚の観客たちのことを思い出しました。劇場も出演者もこれだけ手を尽くしてくれている、当然こちらも徹底して用心せねばという気持ちになる
・さて新しくなったPARCO劇場。場内の雰囲気はそのまま、キャパは増えた。あの段差がなく非常に観づらいXA〜XC列がどうなっているかはわからないが、自分がいた後方席は千鳥配置で段差もあった。前列のひとの頭も被らず観やすい。
ロビーの動線がちょっと不思議、というのは前からそうか(笑)。トイレが劇場の下階になっていて道に迷う。ホットプレートで温めるロールパンのホットドッグを売るカフェはなくなっていた。歌舞伎座の甘栗売場がなくなったのと同様、こういうのってジワジワさびしいな
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07月05日(日)
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