ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』
ウルジーはフォルスタッフにも通じる哀れを誘う愚か者、やるのは楽しかろう役。鋼太郎さん嬉々として演じてらした。河内大知さんにはさい芸シェイクスピアシリーズ残りも出てほしい! そして谷田歩さんがバッキンガム公爵ともう一役やってるんですが、そのもう一役が見ものです(笑)。
ネクスト鈴木彰紀さんはキーとなる(ウルジーが失脚する原因をつくる)クロムウェル役を演じていたのですが、ここちょっと不思議でもあったのです。クロムウェルはウルジーの秘書兼お稚児さんとして描かれているふうだったのですが、何故あんなことをしたのだろう? 告発の意味もあった? でもその後、ウルジーがいなくなったあと他の公爵たちを責めたりしているし……どうにも辻褄が合わないというか、ふるまいが不可解というか。ウルジーとクロムウェルの別れの場面はとてもエモーショナル(というか主に鋼太郎さんがエモい)だったので、ちょっと思いなおしたりしたのかなー、魑魅魍魎が跋扈するこの場で生きていくにはああいうスタンスになるのかなーなんて思ったのですが、これもジェンヌから鋼太郎さんが「ウルジーがそんなミスはしないはず」とちょっと変えたと教えられ膝を打った。見せ場が増えた分矛盾を被っちゃった感じかな。それにしてもあの子(役の方)これからどうすんのかなー、穏やかに暮らせているとよいなーと調べてみたら、処刑されてた(泣)。
ところで彼、エセックス伯でファーストネームがThomasなんですね……。エセックスでThomasといえばSquarepusherじゃないの〜とニヤニヤしました(病)。
音楽と演奏はサミエルさん。ステージに設置されたバルコニーのセンターを陣取り、劇中ずっとそこでオルガン(かな)を演奏していました。テーマ曲すごいよかった! 聴いて以来しょっちゅう脳内再生しています(というか気を抜くと脳内で鳴る)。ただ、大舞台に慣れていない方だったのかめちゃくちゃミスタッチが多くてですね…カーテンコールではミスタッチがミスタッチを呼び焦ったのか相当怪しい演奏になってしまったのでハラハラしてしまった……。次はがんばれ!(次?)
沸騰した水はかさが増したように見えるが実は減っているのだ〜とか私の人生は日没に向かっている〜とか天使ですら罪を犯すんだから天使の似姿である人間はそりゃモーとか耳(読むなら目)においしい台詞は毎回楽しいなー。内容はアレですがやっぱり原作も読んでみようかと思いました。さい芸のこの企画がなかったら、上演機会の少ないこの作品を観ることもなかっただろうし、こんなにシェイクスピア作品を観ることもなかっただろうし、シェイクスピア作品がどうしてこうも長い間世界のあらゆる国で上演され続けているのか、現代演劇に影響を与えているのか考えることもなかったと思います。感謝。次は『ジョン王』だ!
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・ヘンリー八世限定メニュー┃イタリアン『ペペロネ』
うまそう
02月22日(土)
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