ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
情報量が多くてランタイムも長いのに、終始ワクワク観られるのが流石よな……。あとやっぱリズムが素晴らしいよ。シャロンがブルース・リーにアクションを習うシーン、マンソンファミリーがプールに飛び込んでくるタイミング。唐突にして絶妙。対してスパーン映画牧場のシーンはねっとりじっくり。脚フェチぶりも健在。堪能しました。OSTも最高。あれだけの曲が起用されているのにうるさく感じない。そういえばKula Shakerのver.でしか聴いたことなかった「Hush」のオリジナル(Deep Purple)を初めて聴いたわ。最高といえばブロンディ(いぬ)。いぬは人間のよき友、人間を守るナイト。ブロンディがいてよかった、あの日ブロンディをペットホテルから引き取ってきててよかった、リックんちに寄ってよかった。虚構のシチュエーションに、胸を撫でおろす。登場人物が自分の隣人のように感じられる。
役者の喜びは、演じる役があること。演技で他者を日常から連れ出せること。レオ演じるリック・ダルトンは共演した子役から、シャロンは観客として入った映画館でそれを教えられる。スタンドダブル(ゾーイ・ベルが出演していてニッコリ)を筆頭に、大ボラをふくために命懸けで仕事に臨むへ映画人たちへの愛情にあふれた作品でもある。
美しく悲しい、たらればの物語。優しく愛おしい、鎮魂の映画。映画の力を信じているタランティーノ。彼のキャリアをリアルタイムで体感する時代に生まれて幸せです。
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・翌日Kamasi Washingtonのライヴに行って「Fists of Fury」(『ドラゴン怒りの鉄拳』テーマ曲ですよ)を聴いたもんで胸いっぱい。以降『ワンス〜』について思い出すとこの曲が脳内で流れるようになってしまった。こういうことってあるものよね。映画では散々な目に遭ったブルースだけど、愛すべきキャラクターでした
・ふと思うのはMarilyn MansonとNine Inch Nailsのこと。シャロン・テートの事件がなければ生まれなかったアーティストネームと、奇妙な付加価値がついた『The Fragile』という作品のこと。そのネーミングと行動は(トレント・レズナーは後に邸宅を購入したのは偶然だったと主張しているが)、悪趣味ともいえる。そんなトレントが後にピクサー映画の音楽を手掛けることになるなんて、誰が想像しただろう。『The Fragile』を聴かなかった自分の人生はどうなっていただろうな、なんてこともしばし思いふけってしまいました
・【解説】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ワンハリ徹底予習 ─ シャロン・テート殺人事件とチャールズ・マンソンとは┃THE RIVER
「事件が起こってから、南カリフォルニアはヒッピー・ムーブメントに対するパニックと恐怖に陥った。もう誰もヒッチハイカーを拾わなくなり、長髪で髭を蓄えた若者は全員が”殺人狂のカルト”と見なされた。」
無邪気な信頼は失われ、疑念ばかりが先に立つ。時代はそう変わっていく。
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09月01日(日)
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