ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■mouse on the keys tres Japan Tour 2018
新曲と既発曲が混在する内容に、フロアは聴き入ったり盛り上がったり。打てば響くような流れが生まれては消えの繰り返し。途中ケンジーくんが、その空気を打破しようとしてか何度か雄叫びをあげました。ステージの緊張感がフロアに伝播していたようにも感じ、ライヴとしてはかなり面白い空間と時間が続きました。これはライヴの出来が悪かったという意味ではないのです。リカバリは早く、ミスを引きずったりはしない。その分「今夜のライヴの展開」というものが見えなくて、聴き入っちゃうのよ、見入っちゃうのよ。プレイヤーの方はといえば、イヤモニをしていない楽曲の方がのびのび演奏出来ているようには感じました。

その苦闘…というと語弊があるな……楽曲と演奏力のとっくみあいが見られたのはある意味貴重だった。ライヴを体験すると多少印象が変わるが、スタイリッシュなアートワーク等から受けるクールなイメージから、このバンドは演奏すらもサラリとやっているという誤認識をしてしまいがちだ。そもそもは川浮ウんが頭のなかに描いた楽曲と演奏を具体化するため、メンバーを特訓するところから始めたプロジェクトなので、手癖や自分の得意技に安住することはない。曲のための演奏はあるが、演奏のための曲はないともいえる。常に挑戦ですね……安藤忠雄展のタイトルも『挑戦』だったしな! スタイリッシュと破天荒は両立出来るのだというのを見せてくれる面白いバンドです。

さて、ライヴでどう披露するのかいちばん気になっていた、Dominique Fils-Aim醇Pが唄った二曲。稲泉りんさんというヴォーカリストがゲストでいらっしゃいました。Massive Attack形式ですね。といえば「Stars Down」は、マッシヴの「Angel」のベースラインに通じるものがある。ブリストル/トリップホップ的、motkの新局面である楽曲を、稲泉さんのクリアな声が彩りました。男臭い(笑)motkのステージに女性が! という意味でも新局面。彼女がステージに現れた途端空気変わったもんなー。失礼乍ら存じあげなかったのですが、『ペルソナ5』の主題歌やサポート仕事などで広く知られている方とのこと(まとめ有難い)。川浮ウんに「ここからエモタイムだから。エモーショナルにねっ」とふられて「ハードルあげないでください」なんておっしゃってましたがエモとクールを自在に操る最高っぷりでしたよ。また唄いにきてほしいなー。このエモタイムというMCがあってからは随分リラックスした感じになったかな。ギターと管の入ったエモい「Dark Light」は盛り上がった!

rokapenis+Hello1103によるVJも冴えてました。バックドロップだけでなくフロア壁面も使っていたのが格好よかった。楽曲にリリックがある、それはメッセージになる。オープニングでは「Shapeless Man」の“days of disappearance”、「Stars Down」のときには“Where the hell were you?”。言葉がスクリーンに現れる。おまえは何を考えてこの曲を聴いている? と問われたようでドキリとする。二列目にいたため映像の全景は観られなかったのですが、UNITの空間が美術作品になっていたのではと思います。こういうのはひきで観たいよね。motkのライヴは視点がふたつほしくなる(笑)。

川浮ウんと新留さん、ふたりの作曲家の色がハッキリ出てきたことで楽曲の幅が拡がった。清田さんはそれを体現する演奏家。といいつつも、前回同様アルバムに一曲だけ提供される清田さんの楽曲はとても印象に残る。ふたりからスタートし、映像のチームも含めてmotkだといっていた時期もあった。「(川崎、清田、新留)この3人でmouse on the keysです」と名乗ったのは2009年のO-EAST。そこからここ迄きたのだなあと勝手にジーンとしてしまった。なんかmotkのライヴは毎回感慨深くなっている。父兄か。

オーラスはときどき恒例、Napalm Deathの「You Suffer」。ウケるー。帰っていく三人が三人とも上気して、髪の毛が膨らんでいたのが印象的でした。今夜のライヴはすごくよかった。でも、この三人にはまだいくらでものびしろありそうな気がします。それは楽曲も同様で、演奏によってきっと無限に可能性が拡がる。新譜の曲がもうちょっとライヴでこなれた頃にもう一度聴きたい。今夜のは今夜のでとても貴重なものを聴けてよかったけど! よかったんだよ!!!

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06月15日(金)
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