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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■HEADZ Presents『スワン666』
HEADZ Presents『スワン666』@BUoY 北千住アートセンター
『スワン666』のフライヤーをカレー屋さん(草枕)でゲット。ここに置かれるものは「バイト様の活動」に関するものだけだから、スワン〜のスタッフさんか演者さんがいるんだなあ pic.twitter.com/O0ObzzsG3E― kai (@flower_lens) June 17, 2018
(自分用メモとして、まるっと内容を書いています。読んで頂ける場合、観劇後がおすすめです)
作・演出は「飴屋法水たち」。飴屋さんたちの作品は会場に着く迄の道のりと、家に着く迄の帰り道、その日まるごとを作品として認識している。記録ではなく記憶に依るものが大きい。移動と、それに伴う時間というものの影響も大きい。だから欠かさず観ていきたいし、逃したくない。つまり、上記のフライヤーを手にしたときには既に上演が始まっている。いや、もっといえば公演のチケットを予約したとき、公演の情報を知ったときからそうなのかもしれない。ちなみにこのフライヤーは、草枕以外で目にすることはなかった。
北千住には初めて行った。道に迷って随分遠いところ迄行ってしまい、駅に戻って交番で道を訊いた。おまわりさんはとても親切に順路を教えてくれた。とてもこの先に劇場があるとは思えない細い路地を通る。古い家屋が続いている。同じところへ行くらしい、同じく不安そうに辺りを見まわし乍ら歩くひとたちについていく。ようやくそれらしき建物が見えてきて、笑顔でスタッフさんが迎えてくれる。辿り着く迄の道のりといい、街の雰囲気といい、建物の様子といい、90年代初頭に大森にあったレントゲン藝術研究所を思い出す。かつて飴屋さんがTECHNOCRAT名義で『Dutch Life vol.4 COMING OUT』を発表した場所だ。BUoYは面白い空間だった。かつては1Fがボウリング場、地下が銭湯だったとのこと。その1Fで受付をすませる。再入場チェック用として手の甲にスタンプを押される。スワンを模した2、あるいは2に見えるスワンのスタンプだった。地下へ降りると、出演者である山縣太一ににこやかに出迎えられ面喰らう。従来の劇場とは違う空間のため、席に着く迄の諸注意を知らせてくれる。
辺りを見まわす。コンクリート打ちっ放しのひんやりとしたスペース。大きな浴槽がふたつ。排水用らしきマンホール。これらはもともとこの建物にあったものだ。コの字に客席配置。残りの一辺にあたる位置に、中原昌也の機材一式。音楽はリアルタイムで演奏するようだ。フロアでまず目が向いたのは縦長の大きな水槽。『4.48サイコシス』に出てきた水槽だろうか、いや、あれはプールだった? 電話ボックスだった? 水を溜めている最中だ。ホースから出る水の音が、ジョボジョボ、というトーンからやがてドボドボ、と低くなっていく。そうか、フロアに入ったときにまず聴こえてきたのはこの音か。このままだと水が溢れてくるな、床に荷物を置かないようにしよう。いや、この距離なら水が溢れだしてから対処しても大丈夫か。それにしてもこの感じ。観劇? 作品鑑賞? に来たのに自分の身を守る術を探しておきたくなる感じ。飴屋さんの作品に向き合うときいつも感じることだ。他の観劇では滅多にない。
いくつもの女性のマネキン、あちこちに飾られているコラージュ作品。中原さんは今回美術も担当している。装置群は渋谷清道と飴屋さん。BOSEのスピーカーがあちこちに配置され、中原さんの音も演者がマイクから発する音もクリアに伝わる。出演者が出てきてストレッチを始める。加藤麻季(MARK)の赤いブラウスがかわいい。山縣さんはサッカーのレプリカユニと派手な柄のレギンス、小田さんはバレエのタイツ、飴屋さんは普段もよく着ている黒いコート。衣裳のクレジットはなかった(しかしこのチームなら、コロスケさんは関わっているように思う)ので、演者が自分で選んだのだろうか。くるみちゃん(あたりまえだが見る度成長している。背も随分伸びた)やコロスケさんが現れ、飴屋さんとひとことふたこと話す。小田尚稔は準備運動をし乍ら観客が飲み終わったドリンクカップを回収したり、入場してきたひとを空席に案内している。そんな地続きのまま幕は開く。
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06月22日(金)
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