ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『イントレランスの祭』
風間さんが演じる主人公は、とても身近な存在に思える。自分の才能に自信が持てない、認められない焦燥を周囲の無理解とすりかえる、しかしそうではないことにも気付いている。そして彼女を愛する心に嘘はない。そんな彼が仕掛ける一世一代の大勝負は、大きな痛みと犠牲を伴う。彼の秘密を知っているのはひとりだけだ。身近な存在に思えるからこそ、あなたのしたことを知っているひとは他にもいる、ここにいる、と声をかけたくなる。それが出来ないから、観客は描かれたことをしっかり受けとめ、考え続けるという思いを胸に劇場をあとにする。そういった媒介を果たせる稀有な役者だと改めて思う。
真顔で旗を振り踊る久ヶ沢さんは期待通りの怪演、昨年くらいからお初の演出家との仕事が増えているようなので、今後も期待。いろんな意味で双子のような岡本玲/藤田記子のユーモアを交えた強さ、弱さも忘れがたい。福田転球はあてがきかと思わせる迫力。『夫婦』の小岩井役が強烈に印象的だった田村健太郎が、未来と希望を担う役を好演。彼であの役を観られてよかった。
終盤揺れがきて我に返る。周囲を見まわす観客があちこち、ちょっと集中が切れる。直後転換に入り、舞台から役者がハケたので動揺は拡がらず、最後の場も滞りなく進み無事終演。観劇中に地震に遭ったの久し振りだな…と帰宅すると、熊本で大地震が起きていた。差別やデマ、不寛容の在り処について考える。虚構と現実の場は地続きだなとつくづく思う。
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・スペース・ゼロ行ったの、じてキンの『ダイアナ牧師の大穴』以来ではないか…と調べてみたら14年前でしたよヒー。トイレの場所も忘れてるくらいでした。『全労済演劇フェスティバル』は今は『文化フェスティバル』で、より広範囲なジャンルを扱っているようでした。地下では寄席をやっておりました
・『ダイアナ牧師の大穴』、観たときはまだ(観て)読んでなかったんだけど、今思うと『オスカーとルシンダ』に通じるものがあるなあ。信仰とギャンブル。人生はギャンブル。いちばん好きな映画
04月14日(木)
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