ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ダンシング・クィーン』
面白いのは、ジョンミンの夢は巻き込まれ型だと言うこと。市長候補に推薦されるきっかけも、「たまたま」「偶然」の出来事で、本人が積極的に動いた訳ではありません。ところが彼は、周囲から尊敬と熱狂を受けることで、もともと持っていた優しい気質を市民とシェアする人物へと成長していく。一方ジョンファは、忙しい生活に追われ乍らも元来の才能を磨き続け、デビューが決まると同時にそれを円熟の魅力として開花させる。ライバルたちの妨害により窮地に立たされたふたりは、正直な気持ちをぶつけ合うことでお互いを大切に思う心、お互いが持つ夢を尊重し、支え合うことが出来ることに気付きます。

妻の夢を支えると決意した後の、ジョンミンの演説は感動的です。勢いで結婚したように見えるふたりが、人生の相棒となっていくと言うもうひとつのテーマが見えてきます。家族っていいね。

ジョンファを発掘したプロデューサー、オーディションに出ようと誘った友人(傳田うにさんに似てた)、ジョンミンを市長候補に推薦した同窓生が皆いいひとだったところもよかったな。こういう、実は根がいいやつの存在は映画と言うフィクションを幸せにする。生き馬の目を抜く芸能界や政治の世界で、こんなひとたちの存在を信じられるのは嬉しいことです。ジョンミンがなんとな〜く助けたゲイカップルや出前の兄ちゃん、おばあさんの存在も忘れ難い。

市長候補になったジョンミンが、ジョンファとともに街頭演説をしているシーンで映画は終わります。ジョンミンが市長になれたか、浮き沈みの激しい芸能界でジョンファのガールズグループはどうなるか、それは判らない。人生はまだまだ続く。でもそこには笑顔がある。

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ジョンミンさん、冴えない旦那が成長していく過程を魅力的に演じてらっしゃいました。前半ちょーにっくたらしかったけどかわいかったー。韓国では「ピンポーン!(ご明察)」を「ディンドンダーン(Ding Dong Dang)♪」て言うんだ〜ってのを知った。ここのジョンミンちょうにくったらしい(笑)。歌も踊りもバシッと出来るひとなのに、そういうのからきしダメな役を演じるときはホントどんくさくなるのもすごいですね…リズムにのってない踊りとか、ふなっしーみたいな動きだった……。しかしプロポーションのよさは隠せませんね!スーツ似合ってたわあ。

ロビーに張ってあった公開当時のレヴューも読めてよかったです。役名=本人の名前にした監督の狙いや、「“あの”ファン・ジョンミンが妻の夢を断ち切るなんてことがある訳がない、と観客は思うだろう」と言ったテキストに、本国でのジョンミンさんのイメージがなんとなく見えてくる。奥さん大好きなエピソードと言い、キャラクターがだんだん判ってきたわ…天使(まがおで)!下積み長かったり遅咲きだったりと言ったところもやっぱり当て書きなのだろうな。底抜けに明るい笑顔の裏に陰を感じる…と言うか、その陰を抱えてのあの笑顔なのだろうなと思わせられる役者さんですね。

ジョンファさんはちょう格好よかった!メイクによって鈴木砂羽さんにも似ている感じ。気っ風がよくて負けん気が強くて腕っ節も強そうで、歌も踊りもちょう素敵。セクシーだけど男子からも女子からもモテそう。「韓国のマドンナ」「韓国歌謡界の女王」と言われているそうです。いんや素敵だった。

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キネカ大森初めて行きました。いいとこだったー、観客のマナーもよかった印象。tomotomoさんが応援するわとよく言っていて、ずっと気になっていたのです。大森が地元だと言う片桐はいりさんのイヴェントも面白そう。観たいプログラムがあるし、また来月行けるといいな。

しかしあれね、前日ぼろ雑巾みたいになって死んじゃったひとが翌日はママチャリにかわいいお嬢さん乗せて走ってるの観られる映画っていいな、日々違う人生を生きる役者ってステキだなあと思いますね(アホの子の感想)。

03月21日(金)
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