ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『断色』
細川展裕さん。第三舞台を観ていたひとの間では「ねちねち細川」の名でよく知られていた(笑・鴻上さんのエッセイで、そう呼ばれていたのです)プロデューサー。その後ヴィレッヂの代表取締役に就任し、劇団☆新感線の大規模公演を次々と仕掛け、舞台中継の発展形としてE!oshibaiとゲキ×シネを生み出しました。演劇制作のひとつのスタイルを築いたとも言える人物です。自身が手掛けた作品が上演されている劇場のロビーに、必ずと言っていい程立っている。この日も開演前はこどもの城入口、終演後は円形劇場ロビーに、いつもと同じようにスーツ姿で立っていました。白髪が随分増えた。観客の見えるところにほぼ毎回いらっしゃるところ、鴻上さんと同じ「観客の声を直接聞く。それが絶賛であっても、苦言であっても」との姿勢だったのだろうと勝手に思っています。
ごあいさつには、この作品への思い入れと、ご両親のことが書かれていました。そして今作を最後に演劇から距離を置くと言うことも。『断色』は個人の物語でもありました。細川さんがこれだけ個人的なことを作品に持ち込むのは、最初で最後になるのでしょう。ご自身も黒子として舞台に立ち、転換作業もしているそうです。
倍々で増える動員と、芝居が伝わる劇場の規模との間で悩み続けた第三舞台、同じように膨らむ一方の観客を大劇場に呼び込んだ新感線。同じ時代に生まれ、全く違う方向へ進んだふたつの劇団の裏方であり、顔の見えるプロデューサーでもありました。数々の試行錯誤があったと思います。彼が手掛けた作品にどれだけ笑い、泣き、楽しませてもらったか。たくさんの名作を有難うございました。淋しいです。さびしーので茶化しておくと、普段はさびしいを寂しいかひらがなで書きますが、劇中淋病って台詞が出てきたので淋しいにしました。
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おまけ。
・それにしてもたもつと言うと、どーしてもこれを思い出してしまう→『ヤマアラシとその他の変種』
06月23日(日)
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