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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■小林十市 ダンスアクト『Hamlet Parade 〜Last Dance〜』
独白も観客にしっかり通る。現代口語ではない古典の台詞が、その言葉に込められた意味を持ったものとしてハッキリ伝わる。バレエダンサーを引退した後、新たに得た表現方法。ダンスもそうだが、この役者としての十市さんも(当分)観られなくなる。本当に残念。でも、笑顔で見送らないと。来月から活動の拠点をフランスに移す十市さん。ご本人も「どうなるか自分でも判らない」と前置きした上で、家族(フランスにいる奥さまクリスティーヌと愛娘正果ちゃん)と一緒に暮らすことと言うのがまず第一にあり、フランスでバレエ指導者のライセンスが取得出来たことが大きい、と仰っていたので、日本のステージに立つ姿は当分観られないでしょう。公式サイトも三月いっぱいで停止されるとのこと。

使用曲は『第七』全部の楽章に『月光』と、ベートーベンで構成されてました。ところが最後のダンスで使われたのはRADIOHEADの「Exit Music」。これには驚いた!客入れ曲がずっとRADIOHEADで気になってはいたんだけど、ラストに持ってくるとは。この曲はレオナルド・ディカプリオ主演の映画『ロミオ+ジュリエット』のエンディングに使用されて話題になったものでもあります。なので一瞬ちょ、これハムレットじゃなくてロミジュリ!と思いましたが、目の前で繰り広げられる気迫のダンスにそんなツッコミも霧散しました。ハムレットはレアティーズとの決闘で命を落としますが、この“Last Dance”の幕切れは十市さんが自分の腹をかっさばくと言う衝撃的なものでした。『M』の割腹少年を彷彿させる渾身の振付。「小林十市」は一度死に、「小林十一」に戻るのかも知れない。しかしモーリスもミシマも、表現のなかに生きている。十市さんの、これからに対しての決意表明にも思える“Last Dance”でした。

映像に使われた絵画、イラスト、舞台上に置かれた先王の肖像画(王冠を被った髑髏)は天野弓彦さんによるもの。ユーモアとシリアスを行き来するこの公演にぴったりでした。

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その他メモ。

・魔夜峰央先生からお花が来ていてカンドー(笑)。魔夜先生とバレエは深い縁ですが、十市さんと交流があったとは知らなかった。

・物販に『Blog Jump』なるものが。何だろうと思っていたら前のひとが同じことを思ったらしくスタッフさんに質問していた。「十市さんがブログで定期的に撮っていたジャンプ画像をセレクトした写真集みたいなものです」。あっ、これ好き!ブログも終了してしまうし、ログも残らないかも知れないし!と購入しましたよ

・冒頭に本人のコメントが載っていた。「動ける自分を写真に収めておこうと思って始めた」。ダンサーを引退して無意識に跳びたいと思っていたのかも知れない、それを裏付けるかのように『M』でダンサーに復帰してからは、跳ぶことが減った

・「日常生活での風景に跳んでいるひとがいたら?」と言うこのコンセプト、アートとしてもとても面白い。林ナツミさんの『本日の浮遊』を見たとき、あ、これ十市さんが!と思いましたもん(笑)セルフタイマーで撮られた、重力が消える風景。一瞬だけ世界が停まる、ひとりのダンサーが笑顔で舞っている

・これ、まとめられてすごく嬉しい。フランスでもやってほしいな。そして、いつかまたそれを観る機会が作られるのを待っています

03月29日(金)
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