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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ボクのおばさん』『TOPDOG/UNDERDOG』
男ふたり(兄弟)の会話劇。含みがある台詞が満載で、登場人物の行動やラストの解釈が分かれそうだなあ。それだけに後味ほろ苦く、シスカンパニーの年末公演って昨年の『その妹』でもしんみりしたなあなんて思い出したりしました。
台詞量がとにかく多く、それをスピードあるマシンガン口調で攻める。冒頭のスリーカードの台詞から引き込まれる。才能があるけれどその才能で生きていくことを躊躇っている兄、異分野に才能があるけれど兄の分野に憧れてやまない弟。まっとうな生き方って何だろう?
兄と弟の名前と、その由来が明かされる流れでストーリーの結末がある意味読める。実のところ自分はリンカーンを暗殺した犯人の名を知らなかったのですが、その説明がなくとも会話の流れでちゃんと予想がつくようになっています。日本ではそれ程周知でない(いや単に私が知らなかっただけですねハイ)とも言える情報も、こうやってシンプルな言葉で合点がいくように出来るのだなあと感心。
そして、その結末を予感し乍ら観客はその経緯を追っていきます。兄や弟の心情を探り乍ら。会話のなかに出てくる人物たち…兄弟の両親、兄の元妻、弟の恋人に思いを馳せ乍ら。信じる、と言う力の素晴らしさと恐ろしさをひしひしと感じ乍ら。
正攻法の演出と美術、役者の魅力が堪能出来ます。それにしても堤さんてアホの子をやるとホントにアホの子に見えるなあ…なんて小学生みたいな感想を持ちました。でも今回の弟は、そのアホっぷりに悲しい程の愚かさが滲み出ていてやるせなかったな。このアホの子め……。千葉さんは会話だけでなく独白(モノローグと言うよりホントのひとりごと)部分がこれまた見事でした。
シスの『人形の家』を観に行ったとき勘三郎さんが来ていたなあ、ニコニコしていたなあなんて思い出した。
12月08日(土)
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