ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648790hit]
■『インセプション』『トリック・アートの世界展』『デレク・ジャーマン BLUE NIGHT』
終始美しいブルーのスクリーンには、日本での上映のため字幕が入る。どうしても字幕を見てしまうので、本国での上映形態で観てみたいと当時思ったんだった。そしてまた今監督の『PERFECT BLUE』や、バロウズの『内なるネコ』を思い出したりしていた。この世に生まれ落ちたからこそ体験出来たさまざまなことは、自分がここから去る時に何も持っていけない。しかしなんらかの思いとしてどこかに残るかも知れない。具体的に形を持つものではなく他人の思い出の中かも知れない。そしてそれは一瞬のことなのだろうが、間違いなく存在したものなのだ。送る側にも送られる側にも、何も残らないなんてことは決してない。そう思わせてくれた。
上映が終わるとすっかり夜。しばしのセッティング時間を挟み、各ギャラリーで『BLUE SCREEN』『BLUE WIND』『BLUE WALL』『BLUE SHADOW』と題されたインスタレーションがスタート。原美術館が青に染まる。ひんやりとしているけれど包まれるような感触で気持ちいい。常設展示も観て中庭に戻る。『BLUE』の音声が流れる中、ふらりと現れた渋谷さんがピアノを弾き始める。途中からやくしまるさんが参加、『BLUE』のテキスト抜粋をリーディング。
ジャーマンの声とやくしまるさんの声が交差する。繊細な音が空に融けていく。昼間から鳴いている蝉に続き、鈴虫?コオロギ?の声も加わって、品川のど真ん中とは思えない緑の中で聴く音楽はまるで真夏の夜の夢のよう。しかし表現の奥にあるものは力強く、地に足の着いたものだった。英語と日本語を交えた言葉たちは、生きることは美しく、残酷で、喜びと悲しみと怒りに満ちていることを伝えていた。
アップリンク代表の浅井隆さんのツイートによると、リーディング用に渡したテキストと違う部分をやくしまるさんが返して来たそうです。そして終演後の選曲についてはこちら。マドンナの次にはデュランデュランの「The Reflex」が流れました。エイズ禍、死への恐怖、自分の死期を悟った上での覚悟の表現には、命ある者のみが享受出来る喜びと快楽が鏡のように映っている。80年代から30年は経つが、作品たちは今でも強固で、ひとびとの心の中に残り続けている。
ふわふわした足取りで夜の道を五反田迄歩く。行ってよかった。やっぱり明日も行こう。おねがい、17時過ぎても当日券ありますように。
08月27日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る