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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■フィリピンに行けば腎臓が買えます
 重い腎臓病で人工透析を受けている患者数は2005年現在で約25万人いることになっている。この人工透析に掛かる費用はすべて保険医療の適用になっており、患者はすべての医療費が無料になっているそうだ。(ちなみにその医療費は年額1兆5000億円ほどになるらしい)いくら無料とはいえ、週2回や3回の透析に数時間拘束されるのは患者にとってかなりの負担であるし、また透析患者の10年後生存率も4割ほどであると言われる。透析を不要にする唯一の方法は腎臓移植を受けることだが、日本では提供者が少なく、また死体腎の供給数も少ないために順番待ちしてもなかなか当たらない。

だったらどうすればいいのか。宇和島徳洲会病院で病気摘出の腎臓を移植用に使っていたことが明らかになり世間の批判を浴びたが、だったら移植手術のために中国やフィリピンに行き、そこで闇で売買される臓器を移植してもらえばいいのか。移植用の臓器のために殺される人もいる国で、自分の命や健康のために勝手に他の人を犠牲にしてもよいわけがない。そんなことをオレが思っていると、オレの想像を超えたニュースが飛び込んだ。

比が腎臓売買を公認へ、闇取引対策で年内導入目指す2月2日9時29分配信 読売新聞
【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。
 闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。
 新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。

 この仕組みを利用すれば日本での腎臓移植待機患者は、600万円払えばフィリピンで腎臓移植を受けることができるわけだ。オレは最初に書いた医療費1兆5000億円のことを考えてみた。もしも25万人の透析患者全員がこの仕組みを利用してフィリピンで手術を受けた場合、それに掛かる費用は600万円×25万人=1兆5000億円になる。これは全額無料になっていて保険から支出されてる医療費の総額にほぼ等しい。極端な話だが、この手術費を保険適用にしてしまって、透析患者全員をフィリピンに送ってしまえばそれで医療費負担は発生しないことになってしまうのだ。年々膨らむ医療費の総額を抑制する方法として、これはかなり効果を上げることになるが、むちゃくちゃな手段である。

 腎臓は二つあるから一個を取っても生活に支障はないという。しかし、二つの臓器が分担しあって仕事をしてるのを、一個がなくなったから残る一個ですべての仕事をやらせることが果たして大丈夫なのかと考えるとオレは大いに不安だ。自分が仮に提供者になるとしたらそれは妻やわが子が重い腎臓病になった場合くらいであり、いくらゼニをもらっても赤の他人のために貴重な臓器を与えたくはない。しかし、それがたとえば法外な金額で取引されているとしたらどうだろうか。もしも腎臓を売り飛ばしたことで得られる金額が10億円とかなら、いくらオレが「健康はゼニには換えられない」とここできれいごとを語ってるとしてもちょっと心が動く。1億なら安いと思うが10億ならもしかしたら売るかも知れない。


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02月05日(月)
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