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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■イカサマは野村證券の社訓である
オレはこのインサイダー取引を「起こるべくして起きた事件」だと思っている。メールや携帯電話という手段があっていくらでも外部との連絡の方法がある以上、情報を遮断することは不可能だ。また、今回は自分の直接の知人に情報を流して株取引をさせていたわけだが、縁もゆかりもない人物、たとえばオレにその情報をメールで送ったとして、オレがその情報を元に売買したとしても、オレがインサイダー情報を得ていたという証拠を証券取引委員会がつかむことはきわめて困難である。このような事件を防ぐためには、関与者への罰則を強化するしかない。不正な方法で得た利益を全額没収した上での実刑判決を最低ラインとすべきである。
今回の事件に関して野村證券の社長が「証券市場を預かる者がこのような不祥事を起こし、申し訳ありません」と謝罪しているが、オレはこの謝罪を聞いてとても腹が立ったのである。その理由はこれだ。下に示す乾汽船の一年間のチャートを見てくれ。ひどいだろう。
乾汽船の急上昇が始まる前、7月20日に、乾汽船は第2回の新株予約権付社債(MSCB)を発行した。第三者割当の割当先は野村證券、償還期限は2009年8月6日で当初転換価額は1943円、一方7月20日の乾汽船の終値は1793円だ。むろん、そのままでは野村は儲からない。それで野村證券が仕掛けたイカサマが、上記チャートに見られる壮大な相場だったのである。発行株数3000万株弱、時価総額400億円規模の企業の株価を操作することくらい野村證券にとっては簡単である。株価は10月25日には3360円まで上昇した。わずか3ヶ月で50%以上の値上がりをしたのである。これは株価操作ではないのか。新株予約権を行使して安く手に入れた株を高値で売り抜けるためにこの相場を野村證券が仕掛けたのだとオレは憶測している。
野村證券がおそらく売り抜けたであろう11月以降、この株は空売りして荒稼ぎしようとする外資のハイエナたちの餌食となった。ゴールドマンサックスなどがここを空売りしまくった。そのおかげで株価は半年後にはなんと1/3まで暴落したのである。3000円台で買ってしまった個人投資家の資産は1/3に目減りさせられてしまったのだ。
野村證券は乾汽船の株価を上昇させるためにどうしたのか。顧客には乾汽船が値上がりする有望株だからと購入を勧め、それに従って客が購入し、結果として暴騰したその頂点で売り抜け、値下がりして文句を言う顧客には「地合が悪いので値下がりするのも仕方がない。持っていればまた上がる」とでも答えたのだろうか。この乾汽船のチャートのような典型的な仕手株の動きを見ていると、高値でつかんでしまって身動きとれなくなった個人投資家の怨嗟の声が聞こえてくるのである。
たかが数千万をチンケな取引で稼いだ小者よりも、悪の根本は数十億という利益を会社ぐるみの株価操作で得ている野村證券本体ではないのか。その問題にメスを入れずに、こんな小僧を捕まえていかにも「インサイダー取引を取りしまっています」などというポーズをとってることがオレには笑止千万である。丸山製作所、ルック、東都水産、木村化工、紀州製紙、鈴丹などといういわゆる仕手株と呼ばれる銘柄の動きを見れば、そのチャートの不自然さや突如変動する信用取引の残高、そして気まぐれに増額されたり減額されたりする逆日歩になんらかの作為をオレは感じずにはいられないのである。そうした仕手株と呼ばれる銘柄を証券会社の自己売買部門がどれだけいじってるのか、そんなところにちゃんと調査は入ってるのか?
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04月24日(木)
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