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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■いつか来たる結末、されど遠い未来であれ(2)
それから、2、3日経ったある日のこと。
俺が夕方学校から戻ってくると、例によって例のごとく、コンは勝手に外出してしまった後だった。
あれからコンとは、ロクに顔を合わせちゃいない。俺も夜間の死神代行業がことのほか忙しく、加えてあいつが部屋にいないもんだから、自然とそうなっていた。
さっさと井上に、キャラメルの礼言っておけよな、全く───。
そう思いつつも、あいつが気が向かないと行動しないのはいつものこと。俺は大して気にも留めず、制服から私服に着替えながら自室の押入れを開けた。
季節は秋。衣替えの時期である。そろそろ冬服を出しておかねばならないと、クリーニングに出しておいた詰襟の制服に手を伸ばした、その途端。
ポロッ☆
何の弾みか、詰襟のボタンが外れて落ちた。実に唐突に。
そしてそのまま、押入れの奥へとコロコロ転がっていってしまう。
詰襟のボタンは校章がかたどられたもので、他のもので代用できやしない。慌てた俺は急いで押入れへと上体を押し込み、ボタンを探すことにしたんだ。
が、どこをどう転がったもんだか、そう簡単には見つからない。仕方なく俺は、下半身まで体を入れてから、改めて押入れの中を探索した。
正直言って、押入れの中は狭い。子供の頃はそうでもなかったが、今の俺は成長期で、手足を折りたたまないと体が入りきらねえ。だから相当苦心して、手が奥の壁まで届くぐらいに体を突っ込む。
そうしておいて、大体ボタンが転がっていった方向へ手をくぐらせると、ラッキーなことにそれらしきものに指が引っかかった。
そのまま引っつかみ、手元に引き寄せると、まさにそれは制服のボタンだったのだが・・・。
「?」
どうも一緒に、引っ張り出してしまったらしい。見覚えのある薄い布が1枚、ボタンと共に俺の前に現れる。そしてその弾みで、何かがひっくり返る音がして、俺に舌打ちをさせた。
どうやらうっかり俺が触ったのが、コンの風呂敷だったから。あの夜、あいつが「触るなよ」とわざわざ念を押した。多分俺が引っ張ったせいで、中身を全部放り出してしまったに違いない。
・・・わざとじゃねえからいいよな? 元に戻しておけば、あいつもそう目くじらを立てねえだろう。
そんな気楽な思いで、更に押入れの奥へと体を踏み入れた俺だったが、さて、とばかりに風呂敷筒の中身とおぼしきモノを目にした途端。
───固い氷入りの水を猛烈な勢いで、頭からぶっ掛けられたような衝撃を受けた。
そこにあったのは、駄菓子の類ではない。それどころか、本来普通の人間だったらまず、手になんかできない代物が、2つもあったのだ。
1つは、まだ分かる。あいつは時々俺の体を使って、本当の俺ならまずしやしないことをしでかすことがあるから、その証拠隠滅のため。加えて俺も、一般の人間に死神としての姿を見られてはまずいんで、ひょっとしたら必要になるものかもしれない。
だが、もう1つは。こっちの方は。
あいつが───改造魂魄で、今は義魂丸の代わりをしているコンが、死神代行の俺の傍にいる限り、決して必要としないもの。
何でこんなものをあいつが!?
慌てた俺は、思わずその場で立ち上がってしまい。
ごいん☆
頭を押入れの天井に打ち付け、その痛みと眩暈、そして・・・このところ連発してた虚退治の疲労も重なり、間抜けなことにそのまま俺は、押入れの中で気絶してしまったのである。
**********
・・・頭の痛みが治まり始めた頃、俺は変な夢を見た。
窓の縁に死覇装のルキアが、コンと並んで座り、ひそやかな声で話をしている風景。
もうすぐ夜になるんだから、窓ぐらい閉めろよ、と言いたくなったが、どうせ夢だ。あいつらに俺の声は聞こえないだろう。
そう思いながら、俺はボンヤリとしたまま2人の会話を聞いていた。
『・・・では、まだ自覚症状はないのだな?』
『もちろん。俺はまだまだ元気ですって。恋にバカンスにと、人生満喫してますからv』
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12月02日(火)
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