ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■いつか来たる結末、されど遠い未来であれ(1)
※今度劇場版が公開される、BLEA●Hの二次創作です。で、これは、誰が何と言おうとノーマル話です。一応一織前提で、ルキアと一護の関係はあくまでも家族感覚です、念のため。


いつか来たる結末、
されど遠い未来であれ(1)


 変な例えで悪いが。
 時々俺は、所謂『災難』とか言われるものには、ひょっとしたら意思があるんじゃないか、って思ったりするんだ。

 何ていうか・・・一難去ってまた一難、ってヤツ?
 とんでもねえ出来事に出くわして、それを何とか解決して。気が緩んでヤレヤレ、と胸をなでおろしてた直後、その隙を見計らったかのごとく足元をすくっていく───そんな、悪意ある意思が。

 むろん、それは人間の側の身勝手な言い分に違いない。
 悪いのは、目の前に訪れたつかの間の平穏につい油断しちまう、人間の心の方なんだろうけどな。


*********

「黒崎くん、今日黒崎くんのおうちに寄ってもいい?」

 その日の放課後。授業も無事に終わり、後は家へ帰るだけだった俺に、遠慮がちに声をかけてきたのは井上だった。
 啓吾辺りに聞かれたら大騒ぎされる、って心配がさすがにあったんだろうか。俺が校門を出、ちょうど啓吾たちと別れてからのタイミングで。

「へ?」
「あ、ち、違うの、遊びに行きたいんじゃなくって、ちょっと寄りたいだけ。用事が済んだらすぐ帰るから」

 唐突な申し出で、戸惑う俺に慌てたんだろう。変な勘違いをしながら、井上はカバンの中から1つの可愛らしい包みを取り出す。

「ほらこれ、コン君が欲しいって言ってた生キャラメル! 2個セットで売ってたから、あたしの分と合わせて買っちゃったのv」
「・・・あーーー」

 言われて思い出す。

 以前何かの弾みで、俺と一緒にいたコンと井上が話をしていたことがあった。その時好きな食べ物の話になり、コンが「一度生キャラメルってヤツを食べてみたい!」って妙に力強い主張をしてたんだっけか。
 そしたら井上がお人よしにも、「平日なら置いてあるお店があるから、今度買って来てあげようか?」なんて言い出して、2人してヤケに盛り上がってたな。

 あれは確か、井上が虚圏へ浚われる直前の話。それからあまりにも色んなことがありすぎて、俺は完璧に忘れ果ててたんだが───井上のヤツはちゃんと覚えてたんだ。律儀なヤツ。

 ちなみにコンは、さっきも言ったとおりキャラメルが好物らしい。で、俺はチョコレート。お互い好きな味覚が微妙に違うもんだから、たまにあいつ、俺が食いそうにもないお菓子なんぞを、俺が自分の体を預けている間に買ってきたりするんだよな(キャラ△ル■ーンとか)。こっそり押入れの奥に隠してるけど、バレバレだぜ。
 そーいや、最近はあまりそういうことがねえな。さすがにあいつも、ぬいぐるみ姿で買い食いは出来ないってだけだろうが。

 何とも複雑な気持ちを抱きつつ、俺は井上を連れて家へ帰った。むろん、玄関先で妹2人と親父に出くわしたせいで、いつもの恒例行事(詮索&覗き&盗み聞き立ち聞き阻止☆)を経た上で、自室へ彼女を上げる。

「お邪魔しまーす。コンくーん・・・あれ?」

 予想通り、コンは部屋にはいなかった。
 最近あいつは、やたらとアチコチへ出歩いてるらしい。それも、ぬいぐるみの格好のままで。代行証のお陰で、俺がコンを飲み込まなくても死神化出来るようになったからか、ちっとも家でじっとしてやしねえ。また泥んこのボロボロになっちまっても、知らねえぞ?

 一方井上は、目当てのコンがいなくて、途端に落ち着かなくなる。

「あ、あの、そしたらあたし、帰るね? 黒崎君、悪いけどこれ、コン君に渡しておいてくれる?」

 まるで逃げるように部屋を出ようとするもんだから、俺は泡を食って止めにかかった。

「ま、待てって。あいつもきっと、お前から直接手渡しでもらった方が、断然喜ぶと思うぜ?」
「え?」
「だ、だから、その・・・もうしばらく、そう、あいつが帰って来るまで、ここでゆっくりしていかねえか? も、もちろん、井上がイヤじゃなければ、の話だけどよ」


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12月01日(月)
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