ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■Darling(6)SD・流×彩?
 えーーー。「茂保衛門様」書かずに、いきなりこちらの更新です。最後に書いたのが2001年11月02日だったから、実に1年5ヶ月ぶりの新作と言うことになるんだなあ・・・(滝汗)。
 何で久しぶりにこのシリーズを? とお思いでしょうが、色々なワケがございまして。
 1つ目は、せめてこのレンタル日記を1ヶ月更新状態にしておきたいと言う事。でも「茂保衛門様」は、書くのにそれなりの労力が必要になるので、そっちを1ヶ月更新というのは、さすがに無理。それで、一応まだネタが残ってるし、そんなに長丁場でもないこのシリーズを、久しぶりに書いてみようかということであります。
 そして、もう1つの理由。・・・実はこのシリーズに、初のメールでの感想が送られてきたんだったりして(感涙)。VETTYさん、ありがとうございます。都合で返事書けませんが、とりあえず新作復活!ということで、良かったらお許し下さいませ。

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Darling(6)

 睡眠不足の体を抱え、流川は富ヶ岡中学の廊下を不機嫌な顔で歩いていた。

「・・・見つかんねえ・・・」

 断わっておくが、家ではきちんと睡眠をとっている。ただ困ったことに、学校の授業中眠ろうとしたところ、全然眠くならなかったのだ。

 そもそも授業中に眠るとはどういうことだ、と教師から反論が来そうではあるが
、そこは流川の日頃の行ないがモノを言った。いつもぐーだらと眠りこけている問題児が、目の座った顔で親の敵を見るような目つきでこちらを睨み付けてくるのである(本人は単に、不機嫌だっただけだが)。その間、教師とクラスメートたちは(一部女子生徒を除き)生きた心地がしなかった。
 教室の平和と、教師の心の平安のためには、やはり流川にはいつもの通り眠っていてもらった方が良い、と、半ば野放し状態に決定されてしまったのであった。むろん、本人は知らぬことではあるが。

 とにかく今の流川は、安眠できる環境を手に入れようと、校内を徘徊している状態なのであった。
 2年の教室棟まで来た時である。何やら廊下のつきあたりで人だかりを見つけた。
 見れば掲示板に、テストの成績が張り出してあるらしい。皆が悲喜こもごもの声を上げるのを、単なる傍観者の流川はさめた目で見ていたのだが。

「げーーーっ、彩子ってば、また順位上げたわよ」
「バスケのマネージャーしてて毎日クタクタのくせに、バケモノよバケモノ」
「天はニ物を与えるって、やっぱアリなのかねえ」

 ・・・少々のやっかみと、好意を感じる声に、ふと成績表を見やる。
 確かにそこには彩子の名前が、何と10位以内に書かれていたのだった。

<ま、俺にはカンケーねーけど>

「あれ、どうしたの流川」
 声をかけられ、振り返る。
 そこには、流川がずっと探していた彩子。
「あんたが2年の教室棟まで足を運ぶなんて、一体どう言う風の吹きまわし? 困るわよー、今日は傘持ってきてないんだからさ」
「雨なんて降らねえっス」
 笑いながらのからかい言葉に、さすがの流川も即座に反論を返していた。
「あはは、ゴメンゴメン。だけど、本当にどうしたのよ? いつもなら休み時間なんて、あんたの絶好のお昼寝タイムじゃない」
 何で知ってるのか、とか、あんたは俺が昼寝してるところを見たのか、とか、色んな言葉が頭の中を交錯したが、あえて流川が口にしたのは1つだけ。
「イエ・・・眠れなくて」

 ───流川のその言葉を聞いた時の彩子の表情と来たら。
 こういう表情こそ、「鳩が豆鉄砲を食らったような」と言うにふさわしいものだろう。

「眠れないって・・・あんたが?」
「そう」
「一体何があったのよ? 何か拾い食いでもして、お腹こわしたとか?」
「俺は犬じゃねえ☆」
「だ、だけどさあ・・・」

 彩子の心配そうな声が、耳に心地よく響く。
 女の声は高いから苦手だし、おまけに結構大きな声だと言うのに、どうしてだ? と流川が訝しがった時。

 ぺとっ。

 彩子の、柔らかくてすべすべした掌が、流川のおでこに押し付けられた。


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04月21日(月)
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