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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(12)外法帖
※皆様いかがお過ごしでしょうか? すっかり3ヶ月ごとの更新が身に付いてしまった(汗)、ちゃんちゃん☆ でございます。ああ・・・ついに禁断の「空更新」やってしまった・・・☆
(解説しよう。
このSSが掲載されているレンタル日記では、3ヶ月何も更新しないと解約されてしまうんである。そこで、書くネタがないけど解約もされたくない! って人のために、『空更新』と言う隠し技が用意されているのだ。つまり、以前書いたページを何の修正もせずに『修正』する方法。これはちゃんとここでも認められている方法だったりするんだが・・・はっきり言ってこれって、かなり情けない状況ですよね? しくしくしく)
さてそれはともあれ。今回やっとこさ、書きたいシーンの1つにたどり着きました。それでもクライマックス、そして完結まではまだ先が長いです。よろしければそれまで、どうぞお付き合い下さいませ。
・・・これが終わったら、ちゃんちゃん☆ が勝手に「侍魂(サムライダマシイ)」シリーズと銘打った一連の物語が、終結するんですけどねえ。(ワンピのゾロBD記念に書いた「人斬リニアラズ」と、るろ剣「地図にない未来」が該当作。3人3様の『侍』って意味で)はてさて、いつのこととなりますことやら・・・(汗)。では。
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茂保衛門様 快刀乱麻!(12)
───後になって思えば。
この時ほど勝算のない戦い、ってものは、先にも後にも経験したことはなかったわね。したくもないけど。
何せ、周りをぐるりと鬼火に囲まれてるわ、出口から助っ人を呼べないわ、どうやって鬼火を倒せばいいか分からないわ、おまけに、すぐ外に井戸があるって分かってるのに活用できないわ、ですもの。・・・今でも思い出せば、背筋にぞっと寒気が走るくらいだわ。
でも、引き下がることは出来ないってことも確かだった。何もこれは自分たちの命運や、油売りの彦一のためだけじゃない。ここで延焼を食い止められなかったら、まず間違いなくこの江戸は火の海の下に沈む、ってことですもの。無理だって分かってても、血路を見出すしかなかったのよね。
とは言うものの、普通に刀を振り回すって言うだけの戦法に、一抹の心細さを感じたのも、また事実。だからそれとなく周囲をもう1度見渡したところ、どうやら汲み置き用らしき水瓶を発見した。
これは良い、って言うんで、鬼火からは目を離さないまま柄杓を手に取ったあたしは、素早く、でもなるたけ音を立てないように水を汲んだ。そしてそれを、抜かれた刀の刃へそっと注ぐ。
───まあこれは、一種の魔物であるところの鬼火に対して清め水を打つ意味もあり、火も水には弱いってんで少しでも足しになるだろう、って思惑もあったのよね。
そう言えば・・・村雨って言う、里見八犬伝に出て来る不思議な刀は、その刀身から絶えず水が滴り、人を斬っても決してその刃の切れ味が落ちることはない、って言われてるみたい。もっとも鬼火に対して、そう言うやり口が通用するとは思えないし(大体、血糊が出るとは思えない)、所詮空想の世界の刀の話を今持ち出しても、意味ないんだけどね。
とにかく。
あたしがそうして、刀に未だ残る水を切るように振り払ったところ。
オ・・・ォオオ・・・。
鬼火たちから、明らかな恐れの感情が漂って来る。
そして刀を鬼火たちに向けたまま一歩進むと、わずかだけど『奴等』が退くのが分かる。早速効果覿面、ってところね。
こっちの目論見に気づいたらしい。後ろで御厨さんも、あたしの動作に習うようにしたけど、ふと思い付いたことをそのまんま素朴に、耳打ちしてくる。
「榊さん、ひょっとしたらこの水瓶をそのまま『奴等』にぶつけてやった方が、手っ取り早いんじゃありませんか?」
「・・・それはあたしも、一旦は考えたんですけどね・・・」
そうとだけ言って口を閉ざすと、さすがに賢明な彼のこと、どうやら良策ではなかったと悟ってそれ以上は聞いて来ない。
何で御厨さんの作戦を選ばなかったのか、ですって?
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03月20日(木)
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