ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様・快刀乱麻!(2)外法帖
※とにもかくにも2話めでございます。
 そろそろ火附盗賊改以外の外法帖キャラも出さなきゃいけないんですが・・・良く考えたらこの人たち、榊さんの第壱拾壱話での武勇伝、御厨さんからでも聞かせられない限り、知らないんじゃ・・・☆
 ううっ、絶対救済してあげるからね、榊さんv

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茂保衛門様・快刀乱麻!(2)外法帖



 イライラ。

 ぼそぼそ。

 イライライラ。

 ざわざわざわ。

 イライライライライライラ。

 ひそひそひそひそひそひそひそ・・・・。


 ・・・ひょっとしてこれって、悪循環って奴かしら?

あたしがイラついてる。

同僚たちは遠巻きにして、触らぬ神に祟りなしを決め込む。でも気になってしょうがない、って感じ。

そんなところにいないで、話し掛けるなり何なりしなさいよ! と更にイラついてしまう・・・。


 ・・・不毛だわ・・・☆

 そりゃあたしだって、何も好きでイラついてるんじゃないわ。けど目の前に突きつけられちゃった命題の困難さに、眉間に皺も寄ろうってものよ。
 でも黙ってるのも限界に達してたみたい。欲求不満が溜りに溜まって、いい加減精神衛生的にも良くないじゃない! って思わず、不平を口に出してしまっちゃってたのよねえ。

「ああンもう! あのタヌキ親父っ! なあにが適材適所よっ、自分が厄介ごと背負い込みたくないだけじゃないのさっっ!!」
「・・・・・榊さん?」
「はっっ☆」

 ───あらイヤだ、いけないわ。あたしったら、外から戻ってきていた御厨さんが、いつの間にやら側へ来ていたのにも気づかずにわめきたててたみたい。
 照れくささ半分、気まずさ半分を咳1つで誤魔化し、部下に相対するあたし。
「ご苦労様。見回り終わったのね、町の皆はどうだった?」
「ええ、今のところは不穏な事件などはありませんでしたけど・・・」
 巡回報告をしながら、御厨さんてばどこか奥歯にものの挟まったような言い方をする。

 ・・・分かってるわよ。あなたが聞きたいことは。
 でも今は待ってくれないかしら。あたしがある程度、冷静さを取り戻す時期までだけでいいから。

 そう思ってあたしは、御厨さんの不審げな眼差しに気づかないフリをしてたんだけど・・・。
 なのにこの堅物、周囲が小声で「ヤメロ」だの「黙ってろ」だの言って止めてるのに気づいてなかったんでしょうねえ。欲求の赴くまま、思うまんまにあたしにズバッ! と単刀直入ってヤツをやらかしてくれたわ。

「やはり奉行所から、例の路上焼死事件を押し付けられたんですか? 榊さん」
「御厨さん・・・前から思ってましたけどね・・・あなたのそんな、命知らずで融通の利かない性格、ほんっっっとおおおおおっ! に好ましいわあ・・・【怒】」

 怒気のこもったあたしのイヤミに、さしもの彼も聞く時期を誤ったと悟っておとなしくなる。
 ・・・ふん。そんな殊勝な表情、しないでよ。あたしの方が大人げなかったかって、思うじゃない。
 もっとも・・・部屋にいる皆も、さっきからあたしに聞きたがってた事なんでしょうから、そろそろ種明かししたところで罰は当たらないでしょうね。

「・・・ま、いいわ。今更隠したってしょうがないから、教えてあげましょう。みんなも、そのままで聞いて下さいな。───御厨さんがさっき聞いた通りあの事件は、あたしたち火附盗賊改が担当することになりました。奉行所のタヌキに、口先三寸で丸め込まれちゃってね。色々と忙しい最中だけど、よろしく頼むわ」
 口調がまだイラついてるけど、このくらいは許して欲しいものよ。
「口の達者な榊の旦那が、口先三寸で丸め込まれるってさすがは奉行所長官っすよね、親分」
「与助・・・あなたあたしを馬鹿にしてるんですか?」
 余裕のない表情で睨み付けたら、慌てて御厨さんの後ろに隠れるのは勿論与助。

 ったく、親分がああなら子分も遠慮がないわね。大体自分の親分の上司がコケにされたのに、あのタヌキを誉めるってどういう了見よ。

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03月07日(木)
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