ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■過ぎし夢 来たる朝(3)外法帖・天戒×女主?
※「過ぎし夢 来たる朝」は1)〜2)までの話だけなら、別に女主人公ものにすることもないんですよねえ、このSSは。それがどうして、あえて女主人公ものになったか。今回はそれがテーマみたいなものです(笑)。女主人公ものが許せない、って人は、読まない方が無難だと思います。
 って言うか、一度はやってみたかったネタの1つなんです。ただ「剣風帖」の男性キャラだと、ちゃんちゃん☆ の解釈ではちょっと無理なんじゃないか、と。もっとも、こーいう少し茶目っ気のある御屋形様は御屋形様じゃない! と言う方は遠慮して下さいね。
 今回、ぜひとも天戒さんに言って欲しかったセリフは、「ほんの座興のつもりだったのだ・・・許せ」であります。ははは・・・☆

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過ぎし夢 来たる朝(3)外法帖・天戒×女主?

 明け方に見る夢は、正夢になるという・・・。

「人が・・・殺されるんです。オレの目の前で、何人も。なすすべもなく・・・」


 思い出すのも辛いと見える。龍斗は自分で酒を盃に注ぐと一気に飲み干し、ほとんど吐き出すように告白した。
 そのくらい勢いがつかないと、話す事が出来ないのだろう。

「・・・夢の中でオレは、誰か数人の親しい人間と一緒にいるんです。それが突然、何者かに襲われて、斬って捨てられる・・・」
「・・・・・」
「オレは必死に動こうとするのに、体が石になったみたいにピクリとも動かなくて。そうこうするうちに、次々に仲間たちはオレの目の前で血まみれになって、倒れていく・・・。そしてその場に生きているのが、オレだけになるところで目が・・・覚めるんです・・・」

殺すな、やめろ、殺さないでくれ

オレノ、大切ナ仲間ヲ、殺サナイデ───!

<───桔梗が聞いたうわ言は、そういう意味だったのか・・・>

 天戒の呟きは苦い。
 桔梗から報告を受けた時、もともと変だとは思っていたのだ。

 龍斗は確かに穏やかで静かな性格ではあるが、殺されかけたからと言って見苦しくも、命乞いをする人間ではない。
 傲慢、と言うのとは違う。そうなる前に何とか現状を打開しようと、足掻いてみせる方なのだ。他人に言わせてみれば武士らしくない、と言うことになるだろうが、天戒は決して彼女のようなやりようを嫌ってなどいなかった。
 鬼道衆たちも、そうやって生きてきたのだから。

 ───ただし、龍斗が命乞いをしないと言っても、それはあくまでも自分の身に危険が及んだ時、に限られる。
 社交的なわけではない彼女は、それでも人との繋がりをそれは大切にしている。そして自分が心を許した人間を、全力を持って守ろうとするのだ。万が一、例えば天戒が殺されそうになったとして、彼の助かる条件に彼女の命を、と言われれば、ただちに自分の首を掻き切りかねない。
 そんな彼女が、たとえ夢であっても助命を請ういとまも与えられず、仲間が殺されるのを手をこまねいて見届ける、などという事態に陥っていたとは・・・。
<日に日にやつれていっても、無理はない話だな・・・>

 ───そこまで考えて、天戒はあることに気がついた。
 龍斗の言う『夢の中の仲間』とは、どうやら自分たちではないらしい。まあ夢ならば、見たことも会ったこともない人間と知り合いだという設定も、よくあることではあるが。

「誰か、親しい人間、と言ったな、龍斗。それはお前の知り合いなのか?」
「違う・・・と言いたいところなんですけど・・・」
 曖昧な返事に天戒は首を傾げたが、黙って先を促す。
「・・・こう何度も見ていると、本当に赤の他人なのか? って気がして。会ったことのない人間のはずなのに・・・。夢の中では彼らの顔も良く見えないんですけど、だんだん見知っている人間の顔のような気が、してきて・・・」
「雰囲気が違うだけで、実は夢の中で殺され続けているのは俺たち鬼道衆じゃないか、と思うようになった───違うか?」

 論点をぴしりと突いてやると、龍斗は押し黙った。それは無言の肯定を意味する。

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02月28日(木)
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