ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■いつか来たる結末、されど遠い未来であれ(2)
「悟られれば、ただちに体外に摘出されてしまう。研修者たちにとっては、折角の実験のサンプルを失うことになるからな。
だが、死体とは言え、折角手に入れた自分の体。『せめて死ぬ時は、尖兵とは言え人間の肉体のまま、人間として死にたい』───それが、死に掛けた改造魂魄たちの、全ての願いだったんだ。いや、本能と言っても差し支えないだろう」

 そこまで一気に言い切ると、ルキアはハアッ・・・とため息をつく。
 俺もそばで聞いていて、ものすごい疲労感を覚えた。
 それだけの、極めて人間臭い理由を知るために、一体何万個の改造魂魄が実証実験につき合わされたのだろう。そして・・・人知れず死んでいったのだろう。

 ───けれど、改造魂魄たちのその気持ちは、判るような気はする。
 俺はきっと、あまり褒められた死に方はしないだろう。死神代行なんてやっているから。別にそのこと自体を、後悔するつもりはない。
 けれどもし、自分のわがままが許されるのなら、死ぬ時には俺が愛した人たちに見守られて、自分の家で息を引き取りたい、と願う。
 改造魂魄たちにとっちゃ、手に入れた肉体こそが、せめてもの自分の望んだ死に場所なのだろう。

≪続≫

12月02日(火)
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