ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(13) 外法帖
 後になって思い返せば───その時のあたしたちは、勇之介の幽霊に対してのみ完全に、意識を集中させてしまっていた。
 室内にいた鬼火を全部切り捨てた後、って安心感や、戦闘後の疲労感も作用していたのだと思う。そして、あとはこの勇之介さえ何とかすれば騒動は解決するんだ、って油断も。

 だからよもやこの場面に、予期せぬ第3者が表戸を開けて乱入してくるなんて、全くの想定外だったのだ!!

「おっ父(とう)!!」
「・・・・・・・・・!?」


 おそらくは裏道を駆け抜けて、外で待機していたはずの《龍閃組》の目に止まることもなしに、この家へたどり着いたんだろう。油売りの父親、恋しさに。
 だけどこの場合、それは最悪のたいみんぐに他ならなかった。

 ───死ネ!!

 憎しみと殺意に支配されている勇之介の呪詛の声を聞くや否や、あたしは弾かれたように飛び出していたらしい。
 それはほとんど無意識の行動。後先なんて何も考えていない、全くあたしらしからぬ無謀な動作。

 それが正解だった、と実感したのは、小娘を懐に抱きかかえたまま前のめりに倒れこんだ直後。こともあろうに勇之介は、父親思いのこの娘を(お夏とか言った名前だったかしら?)焼き殺そうとしていたのだから───父親の目の前で!!
 幸いなことに油売りは、子を殺される親の悲惨な悲鳴を上げずに済んだけど。

 グォオオオオッ・・・・・!

 熱く、赤く炎が立ち上り。

「あ・・・・・・あああああああっ!?」

 代わりに室内に響き渡ったのは・・・・・背中から全身を炎に包まれたあたしの大絶叫だった・・・。


《続》

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※今回、ちゃんちゃん☆ は、今シリーズを書く際に取り決めていたモットーを、自ら破ってしまいました。
 それは、「外来語を使わず、日本語だけで文章書くぞ!」ってこと。まあ漢字と平仮名だけだと読みにくいことはなはだしいので、適当にカタカナを混ぜてはいたんですが、日本語以外は使いたくなかったんですよ。だって榊さんはれっきとした純日本製の侍ですし、勝麟太郎のように国外のことに詳しいわけでもないですから。
 でも・・・でもねえ・・・「タイミング」に該当する日本語がどーしても思いつかなかったんですよお!! 苦し紛れに「たいみんぐ」と平仮名で表記してますけどね。うう、日本語ってホントウに難しいよお・・・。

 そーいえば今度「外法帖」をリメイクしたゲームが作られるそうですねえ。これ書いてる途中でのっぺりに知らされ、おいおい・・・と思いましたわ。
 よーするに「剣風帖」においての「朧綺譚」みたいなものだったりするんでしょうか? だったらちゃんちゃん☆ が望むのはたった1つ。
「今度こそ榊さんED作ってくれ〜!!!」(笑)


 ちなみに今回執筆中、聞いていたBGMはアニメの「はじめの○歩」だったりするんだな。いつもこのシリーズ書く時は、絶対「魔人學園」のBGMだと決めていたのに・・・意志が弱い筆者を許してくれ・・・☆

08月30日(土)
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