ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(9)後編 外法帖
「そう。つまり、その行商人に小津屋まで連れて行ってもらおうとしたところで、声をかけて来たんだって。
『小津屋がどうのと話をしていたようだが、ちょうど今から我々が行くところなんだ。よかったら案内しようか』って親切ごかして。だから・・・その、もしその行商人のおじさんが最後まで自分について来てくれていたら、あの2人も自分を殺そうとしなかったんじゃないか、って・・・」
「おいおい、それはちょっと逆恨みっぽくねえのか? ・・・・ってえっ☆ 何で蹴飛ばすんだよ、九桐」
「口を慎め、風祭。今はそんなことを言っている場合じゃないだろう。それで、それ以外に何か特徴は聞いてないのか? 桔梗」
「う・・・ん、それがあんまり・・・でも、そう言えば、その男は首から何かぶら下げてたって、聞いたような・・・」

 ・・・・・・・!?

「何をぶら下げてたんだよ?」
「分からない。とにかく何かの弾みで、胸元からもそれが見えてたって」
「首からぶら下げるものか・・・手ぬぐいとかそんなものとは違うんだろうな。後は数珠とか、真那殿が持っているような首飾りとか。榊さんは何か心当たりは・・・」
「・・・・・榊殿?」
「榊さん!? どうなさったんですか? 顔が真っ青ですよ」

 九桐が怪訝がり、御厨さんが心配そうに覗き込んで来たけど、その時のあたしは他人を気にする余裕なんてなかった。
 血の気と言う血の気が引いてしまっている顔色を自覚していながら、どうしようも出来ずに立ちすくむのみ・・・。
 行商人。
 預かる。
 そして首から何かをぶら下げていた───それらの事柄はあたしに思い出させる。そう、詰所で報告させた時の与助の言葉を。


『赤いお守り袋を首から下げてる奴、とか言ってたなあ。とにかくそいつが、死んだ又之助につかみ掛かってたらしいっすよ。一体どういう事なんだ≠ニかそんなつもりであんたに預けたんじゃなかったのに≠ニか、怒りまくっていたって話でさあ・・・・・』

 まさか・・・まさかあれは、そういう意味だったと言うの!?


「・・・戻りますよ、御厨さん」
「榊さん?」
「何をグズグズしてるんですか。早く行かないと・・・・・!」

 早く行かないと、間に合わない。

 ───その言葉を不自然に飲み込んで、あたしは小走りにその場を走り去ることにしたのであった。
 九桐たち《鬼道衆》に不審がられるのも、承知の上で。


《続》

※今回の話はむちゃくちゃ難産でした。ワンピに浮気したと言うことも確かに理由の1つなのですが(汗)、榊さんたちがどうやって九桐たちに真相を聞き出すかに、頭を悩ませてしまったんです。だって彼らにしてみれば、火附盗賊改相手で下手にバラせば身の破滅。《鬼道衆》の存亡にも繋がりますから、そう簡単に話すはずもない。あれでもない、これでもないと色々と書きなぐっていたのですが、ふと思い付いたことが。
「敵を欺くにはまず味方。そーだ、榊さんに見てくれ通りの小悪党を演じてもらおうっとv」
 ・・・そうでなくても陰ディスクでは榊さん、悲しいくらいにイイトコないですから。そんな彼しか知らない風祭たちなら逆に、きっと騙されるんじゃなかろうかと。
 しかし、ここで予想外だったのは御厨親分の行動。榊さんを殺そうとした風祭にまさか斬りかかろうとするとは、書く寸前まで思いもよらなかったです。ハイ(苦笑)。こう言うのをいわゆる「キャラが勝手に動いた」と言うんでしょうが・・・忠義者だなあホントに。(説明しても意味がなかったので書きませんでしたが、九桐があの場で槍を持ち出したのは、御厨さんの剣を止めるためもあったんです。もちろん風祭に、無用な殺生をさせない意味合いも込められてましたが)

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07月22日(月)
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