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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(9)前編 外法帖
その気持ちは分かるし、上司冥利に尽きるって奴だけど・・・そう持ち掛けたのは他ならないあたしなんだし、このままじゃ話が進まないのも事実よね。
「御厨さん。刀を納めて下さって構いませんよ」
あたしは静かにそう、御厨さんに告げる。
「し、しかし・・・」
「相手にはもう敵意はなさそうです。それにあたしたちに害をなそうって言うのなら、問答無用で一気に斬り捨てるくらいの腕は、持ちあわせていますからね、彼らは」
「だったら尚のこと・・・」
「あたしに考えがあるの。良いから刀をおしまいなさいな」
渋々刀を鞘に納めつつも警戒を怠らない御厨さんを目の端にとどめながら、あたしはゆっくりと九桐たちへと向き合った。
「・・・それで? あたしたちに何か、話でもあるんじゃないんですか?」
さっきも言った通り、口封じに殺すのならとっくに彼らはそうしているに違いない。
でも彼らにはもはや闘争心はないみたいし、わざわざ「刀を納めてくれ」とまで言っている。
これってつまり、あたしたちに話なり、取り引きなりしようとしているんだって、あたしは踏んだのだけど・・・・・どうやら正解だったみたいだ。
九桐は言葉を選びながら、って感じでゆっくりと話し始める。
「榊殿、と言われたな? ・・・さっき貴殿が言ったことは、確かにほぼ当たっている。《龍閃組》の力を借りずに、どうしてここまで調べる事が出来たのかは知らないがな。見事なものだ」
少しは《龍閃組》から情報を得たから、火附盗賊改単独ってわけじゃないけどね。
心の中でだけそう呟いておいて、先を促す。
「・・・ただ、1つだけ間違っているところがある。彼ら姉弟の怨みを、幕府の足元を揺るがせる材料として利用しようとした、と言うくだりだ」
「・・・どう違うと言うんですか?」
いきなり何を言い出すかと思えば。
九桐とやらの主張は、あたしの《鬼道衆》への認識を、再び少しばかりながら軌道修正させらるものみたい。
「我々はおろく姉弟を利用したかったわけじゃない。結果的にはそう見られても仕方がないが。・・・だからこれ以上の被害者を出さないよう、勇之介を説得しにここへ足を運んだのだ。頼む、何か手がかりがあるのなら、我々に教えてはくれないだろうか?」
説得って・・・。これ以上の被害者って・・・。
「何よそれ? あのおろくの火事の陰謀に、まだ関わってる人間がいるってこと? おまけにそいつがまだ、勇之介に狙われてるって言うの?」
「断定はできないが・・・多分」
「怨みを晴らしたから成仏したとか、だから勇之介の姿が見当たらないとか、そういうことはないのか?」
険しい表情ながらもお人好しの御厨さんが、彼らしい明るい? 展望を口にしたけど、九桐の首を縦に振らせることはかなわない。
「成仏は・・・出来ない。たとえ本人がしたいと望んでも・・・」
「一体どういうことよそれ!?」
相手のはっきりしない態度に焦れて、あたしが詰め寄ったその時である。
今までずっと沈黙を守っていた桔梗、って呼ばれてた女が口を開いたのは。
〜茂保衛門様 快刀乱麻!(9)後編に続く〜
07月21日(日)
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