ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■ガンバレニッポン モン●ーターン
「野球好きにはああいう世界大会ちゅうて、たまらんもんらしいのお。決勝戦なら尚のこと。あいにくワシにはピンと来んわ。今でもあんましウチでテレビ見んし。
・・・まーさーかー、とは思うけど波多野、お前、『だぶるー●ーしー』とかのTV中継見たさに、最終日のレースそこそこの時間で引き上げる、ちゅう算段でおるんやないよ、なああ?」
「ま、まさか、ですよ、それこそ。・・・はははははは」
「そ、か。そやったら安心したわ。ワシなあ、榎木やお前らとスリリングなレースするん、今節もめっちゃ楽しみに来たっちゅうに、逃げられたらどないしよー、思っとたんやー」
「そ、そんなこと、するわけないでしょ。か、考えたことも、ないっス。こ、こ、これっぽっちもっ」
「そやろーそやろー。今から決勝レースが楽しみやなー」
───蛇ににらまれた蛙?
───イヤ、どっちかと言えば、少々気の弱い狐と、ぶ厚い毛皮を二、三枚かぶった狸の化かし合いじゃないか?
不運にもその場に居合わせた人間は、2人を見て皆そうツッコンだが、そろって心の中だけでとどめている。
下手にここで受け答えしようものなら。
そのままプロレス技にでも持ち込みそうな凄まじい迫力と共に、波多野に抱きついている蒲生の『感情』の矛先が、こちらに飛んでこないとも限らないではないか。
だから皆、一瞬だけでも不埒な考えに及んだ同僚に遠巻きで、心の底から同情するのであった。
蒲生の横で、ダラダラと脂汗を流す波多野は、だから気づかなかった。
自分の杞憂が馬鹿らしくなった洞口Jr.が同期の『危機』をあっさり見捨て、さっさと自室に引き上げていったことを。
そして───。
「ナイスタイミングっス、榎木さん。ホント、助かりました、蒲生さんに話つけて下さって」
「礼を言いたいのはこっちだよ。浜岡くんこそ、よく私に相談してくれたね。もし蒲生さんがこのことを知らないままだったら、きっともっと機嫌を損ねていたと思うから」
「みたいっスね、あの様子じゃ。・・・まあ、オレも少し考えすぎかな、とは思ったんスけど、念のためって言うか、釘刺しときたかった、っていうか」
物陰で同支部の先輩と『艇王』が、ひそひそと密談していた、などということも。
***************
かくして、波多野憲二は無事、21日の決勝戦にコマを進め、蒲生や榎木たちと熱戦をくりひろげたのであった。
尚、予断ではあるが。
気を利かせた幼馴染の澄が、わざわざW●Cの決勝戦を録画してくれたから良かったものの。
日本がキューバに劇的な勝利を遂げた、その決定的瞬間をタイムリーで見損ねたと知った波多野が、滂沱の涙にくれたのは───言うまでもないことであろう。
《おしまい》
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※まずは一言。
波多野ファン、ゴメン(平伏)
イヤ、日本がW●Cの決勝戦にコマを進めたことも、優勝したのも、本来なら喜ばしいことなんですけどね。
そのせいで案外、折角の総理大臣杯決勝が盛り上がりに欠けたりしなかったろうなー? とか思ったら、何か書かずにはいられなくなりまして。
よく考えたら、波多野は昔野球してたんだったよな? とか思い出したら、どうしてもこんな方角にしか筆が進まなくなった次第です。ホントにゴメン。
あくまでもギャグだってことで、大目に見てやってください!!
03月21日(火)
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