ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■Darling(2)SD・流×彩?
 彩子は困惑顔で二階堂に尋ねる。その口調は非難している風ではない。むしろ、これ以上厄介ごとに後輩を関わらせまいと懸命にかばってくれているように、流川には受け止める事が出来た。
「彩子くんと塚本の話だけで結論を出すんじゃ、どうも不公平だと感じたんだよ。第三者の意見も大事だろ?まあ、2人とも落ち着いて座ってよ」
 二階堂はにこやかに笑って、自分も椅子に腰掛けた。


「それで早速聞きたいんだけど、流川は塚本のこと蹴飛ばした、って言ってたよね? どうして?」
 キャプテンの地位は伊達ではない。要点をいきなり突いて来た二階堂である。
「・・・・・」
「彩子くんにも尋ねたんだけどね、ノーコメントで押し切られたんだ」
 このごに及んであの男をかばってどうする。流川は何故か、ムッと来る自分を感じていた。
「・・・先輩がマネージャーに迫ってもみ合ってたから。昼寝しててうるさかったせーもあるけど」
「流川!」
 それ以上言わせまい、との勢いで彩子は叫んだが。
「何で隠す必要がある。別にゴーカンされたとかじゃねーだろ、キスだって止めたし」
「そ、そういう意味じゃなくってねえ・・・」

 あまりにロコツな言い草は彩子の顔を赤らめさせ、二階堂と教師の顔を渋らせた。
「・・・要するに、塚本が彩子くんを押し倒してたから阻止した、って事なんだね」
「そー」
「その他に、何か言ってなかったかな?あいつ。その、彩子くんに」
「・・・バスケ部を優勝させたいだろって。そのためにはマネージャーの応援が必要だって。あと・・・自分1人を応援して欲しいとか言ってた」
 てっきり否定するかと思った彩子は、赤い顔でうつむいたままだった。ここで下手に話をこじらせては、流川の善意を踏みにじる事になる、とでも判断したのだろう。
「つまり、こう言う事になるね? 塚本はエース級の実力とチームの優勝を楯に、彩子くんに交際を迫った。それを断られたから実力行使に出ようとして、流川に蹴飛ばされた。・・・それでいいかな?」
 流川は頷いた。かなり苦々しい気分で。
 彩子はうつむいたままだった。

 肺の中の空気を全部吐き出したかのようなため息が、二階堂から漏れる。
「・・・そこまでするかあ? 信じられないぜ」
「嘘じゃねー」
 思わず反論した流川に、慌てたような弁解が返ってくる。
「あ、いや、そう言う意味じゃないんだ。別に流川の言ってることを握りつぶすとか、そう言うつもりはないんだよ。ただね・・・やっぱりやってくれたな、って気分でさ・・・」
「・・・やっぱりって・・・」

 ───聞き捨てならない言葉である。
「まさかキャプテン、塚本先輩が以前にも女の子にそんなことした事があるとか言うんじゃ・・・」
「違う違う。少なくとも俺は、そんな噂は聞いた事はないよ。その・・・女の子に無理強いしたとか、そう言う点では、ね」
「学校側にもそんな情報は届いていない」
 表現が曖昧になって来た二階堂を助けるかのように言葉を続けたのは、今まで黙って話を聞くだけだった顧問の教師。
「そういう意味で言っているわけではない。・・・流川君は今年入学したばかりだから知らんだろうが、彩子くんは覚えていないかね? 去年、当時の3年が引退した直後、新キャプテンの人事について揉めていた事を」

 どうも話の成り行きからすると、二階堂と塚本がそろってキャプテン候補として上がっていた、といった感じである。
「・・・覚えてます・・・。確か女の子たちとか、塚本先輩に陶酔していた部員たちはみんなこぞって・・・あ、いや、その・・・」
「いいんだよ、本当の事だから。実力とか、人気とか言う分野では、俺は全然塚本には叶わなかったからなあ・・・」
 疲れたような笑みを浮かべ、二階堂は話の先を促す。
「だが、マネージャーをやっている彩子君には分かると思うが、キャプテンと言うのはそんなもので決まるものじゃないだろう。第一、塚本君には時々感情的になりすぎると言う問題があった。冷静な判断を必要とする場面でも、感情論を持ち出そうとするきらいも。試合では頼りになるだろうが、バスケ部をまとめて行くと言う分野には、向いていない」

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09月03日(月)
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