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へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅5(わすれないうちにいそいで書きなぐる)
ほかほかご夫婦の
おうちは
その集落のバス停の裏だと
きいていた。
地図をみながら
ここかな?
という小さな集落で
車をとめてみる。
腰の曲がった
ちいさなかわいい
おばあちゃんが
庭仕事をしている。
お元気だ。
きいてみると
ほかほかご夫妻の集落は
となりの集落だという。
ちょうどそこに
「がじゅまる」
の看板があったので
車をとめたまま
いってみることにする。
「近いですか?」
「うん、あるいていける。
みんな喜んでみにくるけど
結構古い木だからねえ…」
とおばあちゃん。
とても小さな集落で
空き家もあるようだ。
すみたいーと思う
かわいい平屋。
集落をぬけると
すぐに
広場と森がある。
濃厚な緑の空気。
「なんかすごいねー」
細い流れ沿いの小道を
少し歩くと
大きなガジュマルの木が
たっていた。
おじいさんのような
がじゅまる。
根がいりくんで
ケンムンが
すんでいるというのが
よくわかる。
わたしが
ケンムンだったら
どのあたりに
住もうかなあ…と
ガジュマルの
お気に入り部分を
さがす。
集落を間違えたけど
このがじゅまるじいさんに
会えてよかった。
車にもどって
ほかほかご夫婦の
集落へ向かう。
さっきの集落よりも
すこし大きい。
車をとめて
バス停の裏のおうちの
表札をみる。
あ、ほかほかご夫婦の
名前だ!
石垣の門と
緑の木々
「こんにちはー!」
声をはりあげて
門から挨拶してみると
「はーい!」
家と反対の畑のほうから
声が聞こえる。
「来ちゃいましたー」
畑をのぞくと
畑仕事中の
おふたりの
いっぱいの笑顔。
ああ
やっぱりほかほかだ。
畑には春菊の黄色い花が咲き乱れ
にんにく、キャベツ、にんじん…
大阪のうちの畑の野菜たちよりも
みんなひとまわりくらい大きい。
太陽の力か
土の力か
愛なのか。
「そうだ、となりのおばさんちの
珍しい野菜みせてあげる、
こっちこっち」
飛行機で畑の話をしていたときに
話題になった、奄美独特の
ナントカっていう大きな葉っぱのお野菜。
長靴姿のおかあさんについて
となりのおばさんちの畑を見学し
その流れで
集落のおじさんがやっているという
小さなゴルフセンターをみせてもらう。
センターといっても、
海に面した、
屋根のついたちょっとしたスペース。
そこから海にむかって
打ちっぱなしになっている。
いま、ちょうど干潮で
目の前の海は干あがって
海の底がみえている。
「ここね、海にむかって打つのよ。
でね、干潮になったら
玉をひろうの!おもしろいでしょ!」
「ははははは!」
みな笑う。
「わたしね、ここからの眺めがいちばんすきなの!
ここにすわってビールのむの。
ほら、すわってみて!」
おかあさんは少女のよう。
おかあさんの好きな風景がみえる
木のベンチにすわってみる。
右すぐそこにつきでた半島
海は湾からむこうの大海へ
ずっとつづいている。
「ときどきね
ここ
居酒屋になるんよー」
このオープンな
ゴルフセンターに
集落の人たちが集まって
お酒をのむことがあるらしい。
こうやって
気軽に
お家の近くで
海のそば
空の下
親しい仲間とゆるゆると
あつまって飲む
なんて
ぜいたくなんだろう。
ゴルフセンター。
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04月05日(金)
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