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へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅2 (忘れないうちにいそいでメモ)
お天気だった。


グレーの雲の下
雨にけぶる
エメラルドグリーンの海も
美しい。

車をとめて
写真をとる。


間もなく
今井岬だ。

ソテツ群生地と書かれている
山道をのぼる。


道の真ん中に
小鳥がとまって

車が近付くと
またとんで
道の先にとまって

「小鳥が案内してくれてるわ〜」と
ふたりで笑う。


と、
山の上の方に行った時に
「今井大権現」の看板がある
砂利道がみえた。

「車で入れるかなー」

といいつつ
緑に囲まれた砂利道に入る。

道がくねーっと
曲がった時
二人同時に

「わあ!」

と声をだした。

尋常じゃない
なにか
濃厚な雰囲気がある。


「なんかすごいね…。鳥肌たってきた」
「なんか勝手に笑ってしまうーなにこれ」

しばらく
道の奥へゆくと
突然ひらけた広場へ。

「わあ!すごい場所やね。きもちいい!」

「なんか、カラダが勝手に笑ってくる!にやけてしまう!」


両手をのばして
くるくるまわったり
足をあげたくなる。

世界に
まあるく
抱かれているような
不思議な気分。

さっきまで
土砂降りだった雨はやみ
ときどき太陽がさす。


そこに車をとめて
さらに続く
今井権現への道をのぼる。


しばらくゆくと
こんもりした山のふもとに
赤い鳥居があり
石段がつづいている。





おじぎをして
鳥居をくぐり

苔むした石段を
のぼる。




一段一段が
高くてすべりそうだ。


木洩れ日が
急にさして
美しい模様ができる。


突然
すぐそばの林から
つがいの鳥が
飛び立つ。

人間がきたから
びっくりしたんだ。


足元にやたら
とかげかイモリか
茶色い太めの
かわいいやつがいる。


いろんなものが
美しくて
写真を
たくさんとってしまう。

石段は結構長くつづいている。

あ、空がみえてきた。

空にむかって石段をのぼると
てっぺんには
小さなお宮がたっていた。


お宮の扉を
そおっとあけると

中にはたくさんの鏡。
独特のにおい。


扉をあけた状態で
手をあわせ
お参りする。


わたしが
わたしで
いられるように
からっぽで
いられるように

がんばる
宣言をする。





お参りがおわってから

「写真を撮らせてください」

といって

お参りするときに
脇においたカメラを
手に取る。

まやさんが
「写真とっていいんかなあ?」

というのと同時に
わたしはカメラの電源をいれた。

いつもなら
すっと
レンズがとびだすカメラ

ジージーといったまま
スイッチがはいらない。


「わ、写真とったらだめだって
 カメラうごかない」


つい
さっきまで
石段をのぼりながら

パシャパシャ写真を
とっていたのに。


かみさまに

「とっちゃだめだ」

といわれたような
感じがした。


そして
そういうことが
起こることが
まったく
不思議ではない
感じがした。


「わ、ごめんなさい」

写真をとるのは
やめる。


お宮の前から
海がみえる。

風が生きているみたいに
ぴゅーっとふいてくる。


風の中で
おもいきり
声を
だしたくなり

ちょっと
うなってみる。


「そろそろいかなくちゃね」

「おりようか」



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04月02日(火)
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