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へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅1
奄美大島の旅が
あまりにも
あまりにも
心に残って

自分の人生にとって
とても大切な旅になったので

記録のために
まいにち少しずつ
旅日記をかいていくことにきめた。

次の土曜日から
祝島にゆくので
それまでに
かけますように。


***


そもそも
なぜ奄美大島かというと
きっかけは
“鶏飯がたべたかった”
というところがおおきい。

月一回ほど
仕事がらみで奈良にいくときに
お昼をたべにいくHABUSという鶏飯屋さんがあった。

鶏飯というのは、
奄美のおもてなし料理だそうで、
ご飯の上に鶏とか錦糸卵とか
パパイヤの漬物とかのりとか…
いろいろな具をのせて
みかんの皮で風味付けして
鶏がらのスープをかけて
お茶漬けみたいにして
いただくお料理だ。

それはそれは
なんともいえない
おいしさで

お店の中も
とてもゆったりとした
時間がながれていて

奈良にいく度にお店に通うようになった。

そうして
少しずつマスターとお話するようになり
奄美大島のいろいろな話をきくうちに
だんだんと奄美大島に興味がわいてきたのだ。

ところが
昨年の12月のこと
突然お店が閉店することになったのだ。


あの
ぽかぽかとゆるい時間をすごす場所が
なくなってしまう!
もうあの鶏飯がたべられないのか!

そうおもうと
胸にぽっかりと
鶏のカタチの穴があきそうなほどの
喪失感におそわれた。


そうだ
いまが奄美に行くときかもしれない。


そう決心をして
わたしは衝動的に
春の奄美行きの飛行機を
とったのだ。




【3月26日】

午前中に伊丹を発つ飛行機にのる。

前日は朝方4時近くまで
仕事を片付けたり
相棒宛の手紙を書いたり
旅の準備をしたりしていたので

かなり寝不足のはずなのだが
旅の前で妙にコーフンしている。


見送りにきてくれた相棒と別れ
搭乗口に向かう。

搭乗口のフロアで水をかって
お釣りをお財布に入れながら
歩いていたら

突然「ごーん!」という激しい音がして
頭に衝撃がはしる。

何の音!?何が起こったの!?

一瞬わけがわからなかったが

よくみると
柱と柱の間にわたしてある
鉄の太い棒に気がつかず
おもいきり頭をぶつけたらしい。


左のでこがみるみるあつく
ふくらんできて痛い。


飛行機に乗ったら
気圧がかわるから
ぶつかったあたりの
血管がバクハツして
どうにかなってしまったら
どうしよう…

などという不安もよぎったが
まあ意識はあるし
大丈夫か…と
気を取り直し

でこを気にしながら
飛行機にのる。

3人掛けの通路側
右は50代くらいの
ご夫婦だ。

ご夫婦は
なにかしゃべっては
ふたりで笑い
しゃべっては
ふたりで笑い


こんな仲良しの熟年夫婦が
いるのか…とおもうくらい
あたたかなラブラブオーラを
だしているおふたりだった。


しかし
わたしは
それにあたたまっている
どころではない。


おでこをぶつけたことによって
旅のテンションも急降下だ。


買ったばかりの水をおでこにあてると
すこし痛みがましになるので
顔をあげて目を閉じて
でこを冷やす。

突然
「お具合がわるいのですか?」
という声がきこえて

目をあけると
色白丸顔美人の客室乗務員の顔があった。

「ぶつけてたんこぶできちゃって…」

というと
色白丸顔美人は

「ちょっとおまちくださいねー」

と、さささっと
冷やしグッズをもってきてくれた。

彼女は天使に違いない。

その冷やしグッズが
やたらと冷たくて
とてもきもちがいい。

しばらく

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