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へそおもい
by はたさとみ
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■奄美大島の旅5(わすれないうちにいそいで書きなぐる)
ここにむかって球をうつ。
干潮になっている時が球ひろいのチャンス。



集落の中をくるっと
まわって
ほかほかご夫婦のおうちへ。




門を入ると
カラフルなお花が
咲き乱れるお庭。

空港からの道すがら
たくさんお花をかっていたけれど
このお庭のためだったんだ。


実のなる木には
お父さんが作った
かわいい
小鳥のおうちがあって
ときどきメジロがくるという。


海に浮いてる
うきを拾って
カエルにみたてて
つくった植木鉢が
カラフルでかわいい。


この中に土をいれて
植木鉢にする。



「植木鉢もかわんでもいいし、
 なんでもそろってる」

おとうさんの顔から
しあわせが
あふれている。


ほんとうに
この生活がすきなんだなあ
たのしいんだなあ


手作りの庭にいるだけで
なんだか
胸があたたかくなってくる。



「どうぞー、お茶のんでってー」


おうちからお母さんの声。

遠慮なく
おじゃまする。


昔ながらの古い平屋の民家を
お父さんが3ヶ月かけて
リフォームしたという。


木のあたたかみのある
心地のよい空間。


テーブルに四人ですわり
ロールケーキとコーヒーを
いただく。

「なんか、むかしから知ってる家族みたい!」

とまやさん。

「ほんとねー!
 たまたま、飛行機でとなりになって
 たまたま、加計呂麻に住んでるって。」

とわたし。


「地図みてる人珍しいから、
 観光のひとかなーっておもって。
 わたし、ここすんでるのよーって
 声かけたんよねー」

とおかあさん。


おとうさんは
ふふふと
わらっている。


わたしたちは
この家の子どもみたいに
これまでの旅の報告をする。


おとうさんとおかあさんは
「へえー」とか「よかったねー」とか
笑ったりしながら
話をきいてくれる。


昨夜のお料理とってもおいしかったこと、
加計呂麻に住みたい気持ちになっていること
集落を間違えてガジュマルの木をみにいったこと
諸鈍の集落でオムライスを食べたこと
神社でカメラがこわれたこと
ユタ神様に会ったこと。


「この集落にもね、ユタ神様いたんよー。
 91のおばあちゃんでね、もう亡くなったけど。
 いまはユタ神様、いないねー。」


この集落のユタ神様は、
自分が亡くなるのを
わかっていたらしく

亡くなる前に
お茶碗など
いらないもの全部
海にすてていたらしい。


「みんなでお家片付けにいったんだけど
 きれーに片付いててねー」

「海にお茶碗すてて
 ごみにならないんですか?」

「このへんの人ね、
 そういうところあってね
 おもしろいのよ。
 全部うみがもっていってくれる
 うみに返すっていう感覚なんよね。
 きっと。」



そのユタ神様のおばあちゃんとは
お二人が散歩中に
よく会っていたらしい。


「このへんではね、さんぽのこと
 あるけあるけ≠チていうの。
 あるけあるけしてるのー?≠チて
  声かけてきてね…。」



ふたりが
散歩の途中
海をみながら
すわっていたら


いつも横に
ユタ神様のおばあちゃんが
ちょこんとすわって


「金はいらん。
 ふたりなかよく
 あればいい…」

とつぶやくのだという。


「そんな言い方してたよ。
 なんかようおぼえてるわー」


おかあさんが
おばあさんの
口まねでいう


「金はいらん。
 ふたりなかよく
 あればいい」


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04月05日(金)
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