ID:31657
to Die
by 293とうめこ
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■どらみゅ

「心夜・・・・」
ある日、心夜がドラムセットをせっせと叩いていると、
真後ろからいきなり声がした。
「!!・・・・・何だ堕威くんか」
心夜はそう驚いた様子も無く声の主に喋りかける。
堕威はどよーんとした空気だ。
「心夜・・・・俺に・・・俺にドラム叩かせろーー!!!」
「はぁ?」
堕威のいきなりの申し出に心夜は
さも嫌そうに返事をする。
「何言ってるの?何で堕威くんなんかに
俺の大事なドラムセット叩かせなきゃなんないわけ?」
愛用のドラムセットなだけに言葉にも普段以上に毒がこもる。
「ひっ・・・酷い!!心夜酷いーーーーーー!!」
堕威はさもショックを受けたといった風に床になだれこむ。
「あーはいはい、俺は酷いねー、ごめんねー」
心夜はそんな堕威くんを無表情で慰める。
異様な風景だ。
そうやって心夜がぽんぽんと背中を叩いていると
「・・・ぐすっ・・・・叩かせてくれる・・・?」
堕威が涙目でそう訴えてきた
心夜はそれにため息を吐きながらも言う。
「・・・・・・・ちょっとだけね・・・・・」
その言葉に堕威は顔を綻ばせ、ピョンピョンと跳びはねる。
現金な人である。
「っていうかさ、何でいきなり叩きたいなんて・・・・」
心夜はしゃがんだまんま堕威に問う。
「俺昔ドラマーやったん知ってるやろ?」
「うん」
「俺密かにそのままドラムやってたかってん(><)」
「へぇ」
「でな、今日ファンメールの返信した時にどうしてもムズムズ・・・
こうな・・・やりたくなって・・・・!!!」
堕威は何かが喉にひっかかった様な顔で訴える。
「じゃあ早速叩きに行こうか・・・・」
心夜はどうでもいいやといったふうにつかつかと歩いてゆく。
堕威は嬉しそうにその後に付いてきた。
そのままスタジオのブースに入る2人
「ドラムセットーvv」
堕威は心夜のドラムセットの所へ行き、頬ずりする。
「堕威くんやめてよ・・・」
心夜はべりっと堕威を引きはがしそのまま椅子へ座らす。
「はい、叩くなら叩きなよ」
心夜はそういって堕威くんをながめた。
しかし堕威はきらきらと何かを求める目で心夜を見るだけ。
犬と会話できる特殊能力が有る心夜は
その瞳で堕威が何を言わんとしているのか瞬時に気付く。
「・・・・楽譜?」
堕威は必死にこくこくと頷く。
心夜は机から楽譜を取ってきて堕威の前に置いた。
それを見てようやくたたき出す堕威。
最初はご機嫌でパタパタと叩いていた。
しかし段々真剣になって・・・必死になって・・・・
いっぱいいっぱいな顔になって・・・・・・・・・
「むっ・・・・むじゅかしぃ・・・・・・」
うるうると涙目になった。
「ぷっ・・・・」
その顔の変化がおかしくて心夜はついつい吹き出してしまう。
「だって俺の技術やせいぜい高校前期までやのん!!」
堕威は顔を真っ赤にして心夜に怒鳴る。
「くくく・・・・いや・・・堕威くん・・・可愛い・・・!!」
「!!!可愛い言うなやー!!」
心夜はものすごくツボにはまったのか終始笑っている。
堕威はもーどーにでもなれと言った風だ。
そしてふと気付いた様に言う。
「なぁ、心夜叩いて見せてくれん?」
「・・・ふぅ・・・・えぇよ・・・」
心夜は笑顔のまま応える。
そして堕威と席を変わり一息吸うと楽譜を見ながら叩き出した。
高く・低く・時に小刻みに・そして強く・・・
心夜のドラムの音に堕威はしばしシンクロする。
躰にゾクゾクと寒気が走る、
しかし音に感化された体は熱を帯びていた。
ギュッと瞳を閉じ、両の腕(かいな)で身体を抱き込んだ。
『これが本物のドラム・・・・』
堕威は高揚に全部が包まれるのがわかった。
このブースの中には高揚という名の羊水が詰まっていると思った。
心夜が叩き終えた時、
堕威は自分が叩いた本人と同等の疲れを要している事に気付いた。
はぁはぁと息を切らして呆然としている堕威。
心夜は堕威を見て笑った。
堕威もそれを見て笑顔になる。
「やっぱ凄いな・・・心夜は・・・」
堕威はふふ・・・っと笑う

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02月20日(木)
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