ID:31657
to Die
by 293とうめこ
[440338hit]

■15の春

まだ霜も溶けきらぬ早朝

閑散とした中、そこだけは活気づいていた。

銀貨中学 道場。

今は剣道部の朝練が行われている。

だんだんと足を踏む音が辺りいっぱいに響く、

やぁ!と叫ぶ声はまだ若々しく、少々迫力にはかけるものが有った。

その練習風景を見守る、道着姿の男が居た。

どうやらこの部を受け持つ先生の様だ。

きついまなざしと、茶色い髪が印象的である。

名前は薫と言う。

「やめっ!」

彼がそう言うと部員達は一様に打つの止める。

「集列、面取れ」

部員達は横1列に並び、正座、そのまま面を取った。

薫は時計をチラッと見て列の前へと行く。

「あー、何か今日は時間がちょっと遅れてる。先生は朝礼がヤバい。ので、今日は黙祷無しな!!お前らこのまま着替えて教室帰れ」

薫はにっかっと笑い、挨拶もそこそこにバタバタと出ていった。

その後姿を物言いたげに見つめる一対の瞳が有る。

てぬぐいを取った下の頭髪は真紅。

「堕威、何見てるん〜〜〜」

隣に座る部員が訝し気にきいてくる。

「えっ・・・・いや、何でも無いで!!」

堕威という名の少年は声をかけた途端、バツが悪そうにそう言うと、

急いで防具を片付けはじめた。

声をかけた少年は疑問符を頭上に沢山浮かべていたが、

考えてもしょうがないと思ったのか、

すぐに自分も防具の片付けをし始めた。

そのとき、堕威はやはり薫の去った方をじっとながめていたのであった。


*****


「あーvv今日も堕威くん可愛かったなーvv」

一方、こちらは薫である。

今日の道着姿な堕威を思い出し、悦に入っている。

この薫という教師、

入学したばかりの堕威を見て、一目惚れ、

ソレ以来3年越しの恋心を抱いている。

「おら!心夜ぁ!聞いてるんかぁ!?」

彼が今いるのは保健室、

彼が声をかけているのは、この学校の保健医、心夜である。

「はいはい、ちゃんと聞いてるよ・・・」

心夜はコーヒーを入れながらおざなりに返事をする。

「もうなーvv堕威くんなぁvv俺の言う事素直に信じるやでーvv女の子の剣道部は部活中は下着付けてないんやでー言うたら凄いあせって顔真っ赤にしてん!!かわえぇなぁ〜〜〜vv」

薫はにやにやと口元を緩め、マシンガントークをぶっぱなしている。

「・・・・・・堕威くん可哀想・・・・」

心夜は純情な堕威の顔を思い浮かべ、はぁっと溜め息をついた。

薫は一人トリップしている。

そして、

運が良いのか悪いのか

そんな堕威くんは薫のクラスの生徒でも有った。

「あっ!!予鈴や!!また堕威くんの顔が見れる〜〜〜vvvじゃあな!心夜!せいぜい病人の顔でもおがんどれ!!」

そういうと薫は愛しい堕威くんに出会うため、

教室へとダッシュするのであった・・・・。
01月22日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る