ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■ななどあメモその2
 でも私はひっかかるのだよ「自分とは正反対だから惹かれる」に。





 六つの扉を開け終えたユディットは問う。
 六つの部屋はからっぽで、そこにいるのは一人の罪人……「この城は、監獄」
 けれども監獄ではなく、博物館だと答える執事。公爵による、罪のコレクションという。
 「暴食」「肉欲」「強欲」「怠惰」「憤怒」「嫉妬」とこれまでの扉の鍵を数える執事……。 それが「七つの大罪」だと気づくユディット

「残る一つは、傲慢です」




[傲慢]

 七つの目の扉は執事の部屋。


 執事の部屋には明かりがなく、見えない恐怖を示唆する執事。
 足下に蛇がいるかも、虫がはいつくばっているかも、誰かがいて足をつかむかも…「やめてください!」(と怯えるユディットはかなりかわいい)(はいはい)。

 そうしてここを自分の部屋だという執事。そして自分は七つ目の大罪『傲慢』だと。
 またここにも罪人、と怯えるユディットに自分は何も犯していないという「それがまた罪なのかもしれません」

 執事は公爵の陰だから、「影は暗いところにいるのがいいでしょう?」と明かりがない事を説明する。それがなんかじわじわと怖い。

 そうして明かされる、「公爵に8歳の時から遣えていた「執事」」。
 公爵よりも年嵩に見え、明らかに老境にさしかっている執事にユディットは「公爵が8歳の時から」と返すもすぐに否定される。
 そうして公爵の時は止まっているという。執事が「8歳の時から」遣えているが、公爵のお姿は変わらないと言う

 ありえないというユディットになぜそう言い切れるかと言う『傲慢』。あなたが何を知っている?この世のすべてがわかっているわけではないでしょう?人が知っていることなんてせいぜい一パーセントにも満たないだろう、と、それでいてわかったふりをしてわからないことは拒絶する、それを傲慢としてなんと呼ぶか、と。
 そうやってユディットを追いつめていく。

 わからないことを否定するそれこそ傲慢
「ユディット様もなかなか傲慢でいらっしゃる、この部屋を鍵をお譲りしてもいいくらいだ」とその鍵をユディットにむかって投げ捨てる『傲慢』。ガチャ、と舞台中央に落ちる鍵。

 そうやって完全にユディットが覆されて、追いつめられる。
 彼女の世界が覆された。聖書の教えで罪を断罪してきたユディットがその罪を問われている。

 公爵を神とあがめる『傲慢』のその狂気。
 そこにいる神はユディットの世界の神ではない。その狂気に追い詰められる。
(大阪の千秋楽は本気で怖くて泣いたらしいよユディットちゃん、かわいいし、なんというか芝居の力を感じるなあ…)

 そうして怯えて階段につっぷしてしまったユディットを、一瞬、威嚇するように近づき、そして高らかに笑いながら去っていく『傲慢』。その時、鍵をちゃらちゃらこれ見よがしに鳴らしていくのも、心底、怖かった。
 この鍵、というのが実に効果的で。七つの扉を開く際に、執事がその鍵を高くあげて下におろす。それに併せて「ガチャン」と鍵が開く音。


 そうやってユディットを案内していた「執事」が最後にユディットを追いつめた。七つの扉をめぐる間、ユディットをどんな風に見ていたんだろう……。
「肉欲」の場面では階段上から二人の踊る様を無表情で見ていて、それが下からの照明に照らされて心底怖かった。
「憤怒」の場面で部屋に入ってきたとき、憤怒を刺激しないように「しっー」っとやるお茶目さもあった。
「嫉妬」の場面では階段上に腰掛けて、歌う二人の指揮をとるようにご機嫌で(私はテルミンを弾いてるように見えた)(笑)
 そんな「執事」が『傲慢』としてユディットを追い詰めた。





 そうして七つの扉をめぐりながら、七つの罪を前にして、聖書で断罪してきたユディットが翻弄され、覆される。私にはそんな物語に見えたのです。


 七つの扉と七つの罪、そしてユディット。
 さあ伏線はたっぷりとはられた!これからいよいよ本番!




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06月11日(月)
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