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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「南方人物周刊2017-4-24」 金城武の隠れ身の術・5
みんな地球という星で一生懸命生きている

「よく聞かれるんだよ、君と金城武は本当に親しいのか、と」
ピーター・チャンは、目の前の金城武に言った。
「ぼくはこう答えるさ。イエスと答えて、彼がそうじゃないと言ったら、
メンツがないよね、って」
「イエスですよ、イエス。ただ、しょっちゅうは会わないだけで」と金城武は答えた。

こんな長い付き合いでも、金城武が自分との関係をどうとらえているのか
わからない、という困惑は、呉里璐も経験している。
以前は映画撮影のとき、今のようにスターが
大勢のスタッフに取り囲まれているということはなかった。

金城武はアシスタントを連れず、撮影の合間には、
腰を下ろして呉里璐とよくおしゃべりしたし、
ネットゲームのやり方を教えてくれたりもした。
2人は共に恥ずかしがり屋で内にこもるタイプであり、
時にはただ何もせずただ座って、ずっとしゃべらないままでも、
気まずくなることなく、心地よくいられた。

その後、何年かは顔を合わす機会がなく、
オンラインゲームの中で出会うと挨拶を交わすぐらいだった。
再び一緒に仕事をしたのは「喜歓你(恋するシェフの最強レシピ)」の
衣装決定の日である。
呉里璐はスタッフルームで準備をしながら、
そうだ、金城武と会うのだと思った。
嬉しくもあり、少し心配でもあった――
彼は自分のことを親しい人間と思ってくれているだろうか?

結果は――金城武は部屋に入ってくるや、
呉里璐をお姫様抱っこしたのである。
これは全く金城武らしからぬ気持の表現方法だった。
「大勢人がいたけど、みんなびっくりしていました」
呉里璐は今も印象深く思い起こす。

ピーター・チャンと呉里璐が抱いたような心配が、的中した例もある。
1990年代の末近く、金城武は香港で「心動(君のいた永遠)」に出演し、
制作会社は記者たちを伴って、現場訪問をした。
金城武は取材を受けたくなく、気まずい雰囲気であった。

王雅蘭も記者の1人だったが、彼女は金城武とは
デビュー作のテレビドラマ「草地状元」のときに早くも知り合っており、
その後も何度か交流があった。
あるとき、王雅蘭が日本にいる金城武を訪ねてインタビューしたとき、
合間を見て、こっそりデパートにウィンドウショッピングに行った。
すると、金城武もこっそり彼女の後をついて階段を上ってきて、
驚かせたこともある。

このとき、王雅蘭は場をとりなそうと、
「大丈夫よ、みんな古いお馴染みばかりじゃないですか」と言った。
金城武が「誰が古いお馴染みだって?」とピシャリと返したので、
一同は静まり返り、気まずさはいや増したのである。

しかし、機嫌のよいときには、
彼は記者会見で会った王雅蘭に自分から挨拶をし、
「雅蘭さん、お久しぶり。
うわあ、スニーカーにショートパンツなんですね」と声をかけてきた。

金城武がしまい込んでいる小さな世界は、
時たまその断片が洩れてくるだけである。
例えば、何かをする前には、あれこれ考えて長いこと迷うとか、
出かける直前まで、まだ荷造りをしているとか。
たあらかじめ時間はたっぷりあったとしても、スーツケースに入れられない。
どの服を入れたらいいかわからないからだ。

また、例えば、ゲームが好きで、「投名状(ウォーロード)」の撮影中、
ピーター・チャンが明日の夜一緒に夕食をしようと誘うと、
約束があるから行けないと言う。
こんな山奥で誰と会うというのか、ピーター・チャンが不思議がると、
オンライン・ゲームを一緒にやる約束をしているのだと答える。

彼の小さな世界は、友人たちの目にはもう少し多く触れるが、
それでもはっきりとした限界がある。
「彼が変わり者だという理由は、
彼には小さな、人に入ってきてほしくない部分があるからです。
でも、そこから出てきたときは、裏表なく、怒るときは怒るし、
喜ぶときは喜びます」
プロデューサーの許月珍は言う。


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07月05日(日)
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