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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■雑誌記事(外灘画報@)
金城武インタビュー
アジアの二枚目変身記
新作「武侠」で、金城武は四川方言をあやつり、
人を裁くためには手段を選ばぬ変人の捜査員を演じている。
彼と3本の映画で仕事をしている監督ピーター・チャンは、金城を、
アイドルスターから演技派男優に改造しようと試みた。
今年37歳の金城も、自分自身を進んで打ち倒≠サうとした
――スクリーンでは二枚目のイメージをひっくり返し、
オフスクリーンでは周囲の人々を信頼しようとしたのである。
この、全アジア化された出自にめぐまれ、人気を博した日中混血児は、
今、自身の演技における風変わりな資質を掘り起こし始めたのだ。
ひげを蓄え、礼帽をかぶり、長い中国服をまとった下級捜査員、徐百九(金城武)が、
大慌てで門を押し開けて飛び込んでくると、県長に向かって大騒ぎする。
その最初の一言が、これである、「大変ですわ……」
その一瞬、観客の顔がぱっとほころび、ほとんどの者が笑いだす。
みんな間違っていない、金城武の口から出たのは、四川方言なのだ。
2、3秒前まで、彼は依然、変わらぬ優雅さを保持していたというのに。
白いハンカチを手に、鼻をおさえ、丸眼鏡を通して優雅に検死をしていたのだが。
監督のピーター・チャンの新作「武侠」で、金城武はようやく、今までで最も論議を呼ぶ、
最も大胆な、またおそらくは最も良い役柄――徐百九に出会ったのだ。
この人物は、時を得ない下級捜査員だが、精神分裂の偏執狂で、善悪にかかわらない。
裁きのためには手段を選ばない。
まさに彼の偏執のせいで、作中、善人になろうとしていた劉金喜(ドニー・イェン)は
死を招く災いを呼び寄せることになる。
事実は、金城武はアジアで最もバタ臭いアイドルスターの1人である。
アメリカの「ニューズウィーク」誌は、アジアには彼のようなスターはまれであると書いた。
英語、北京語、日本語、さらには広東語、台湾語に通じ、優れた容姿を持ち、演技力がある。
台湾に住み、日本、中国内地と香港台湾で映画を撮る。
地域、民族にいささかもとらわれることなく、どこでも認められている。
「タイム」誌は既に2003年に、「金城武はアジアのジョニー・デップだ」と予言した。
2人とも音楽活動を経験し、セクシーな容姿で、極めて変わり者の役を何度も演じている。
現在、「精神が普通じゃない」は既にジョニー・デップの代名詞になってしまった。
そして今年37歳の金城武の演技における風変わりな気質が、
ここ数年、ようやく本格的に発掘され、クローズアップされてきた。
ジョニー・デップの後ろ盾は奇才監督ティム・バートンだ。
そして金城武の背後にいるのが、すなわちピーター・チャンである。
彼は金城武をアイドルスターの位置から掴み上げて、対極へと向かわせた。
金城武は、彼が3作品で起用した、ただ1人の人間である。
「金城武は例外だ、なぜなら、彼は喜んで、ぼくの『金城武を打ち倒す』手伝いを受け入れるからだ」
二枚目のイメージを「打ち破る」 23:30
「打倒」金城武のプロセスが終了するには、7日しかかからなかった。
徐百九という役は、本来金城武が演じるような役ではない。
日本の北野武や韓国のソン・ガンホの方がむしろふさわしい。
彼らが得意とする役には1つの共通点がある――
見かけが冴えず、することが極端で、そのやり方が嫌悪を感じさせる。
後のことを考えず、さらに無頼の雰囲気がある。
「じゃあ、なんでぼくにやらせるの?」金城武は聞いた。
「他の人間に出てもらえなかったからだよ」ピーター・チャンが答えた。
クランクイン前から、金城武とピーター・チャンの力比べは始まっていた。
撮影に入っても、彼は自分がこの徐百九という役を演じることに納得できないでいた。
金城武は扱いにくい俳優である。
彼はピーター・チャンに山ほど質問を突きつけるが、
そのほとんどは、脚本への挑戦となり、脚本家や監督に難題を抱えさせる。
「彼は前から、いつも役の難度を30、40%あげるという腕前の持ち主なんだ――
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08月05日(金)
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