ID:23473
武ニュースDiary
by あさかぜ
[6278096hit]

■北京での単独インタビュー(新浪)A●外灘画報記事
昨日のインタビューの続きです。


金城武を救った方言

――すると、この役をやることになったとき、自分でどう思ったんですか?

金城武 最初はとてもぼんやりしていました。どう演じていいかわからなかった。
でも、方言で演じてみてから……

――障害がなくなったと?

武 この役を演じ始めたばかりの数日は、まだ心がもやもやしていて、
監督にずっと言っていました、「よくないと思います」。
監督もずっと言っていましたよ、「いいよ、それでいいよ!」
それで、相談して、撮ってしまった分はそのままにしておこう、
後でチャンスがあったら撮り直せばいいということにしました。
いつもそんなふうに監督と話をします。

その後、監督が方言を試していいと言ってくれたんです。
知らない人でも、喋り方を聞いたら覚えられる、
それはとても面白いと思って、監督にそれを言いました。
で、方言でしゃべってみたんです。もちろんそのときはあまりきちんと言えなかってですけど。
それを撮って、モニターで見て、監督にどう思いますかと聞いたら、
監督が、とにかく試してみようと言ったんです。
でも、方言にしてから、すごく順調になり、どの方向へ向かうべきかわかったと思いました。

――方言がインスピレーションとなって、あなたを助けてくれたと思いますか?

武 ぼくはそう思います。
方言のおかげで、ぼくにあまり他のことを気にしないようになったんです。
方言で台詞を話すようになる前は、多分一言ごとにこんなふうに考えてしまっていた。
正しく言えたかな? とか、他の人はちゃんと聞きとれたかな? とか、
こういうことなんだとわかったかな? とか。
この役を始めた時、そういうことが心配だったんですよ。

その後、方言を使うようになって、怖くなくなりました。
というのは、第一に、ぼくも自分が何を言っているのかわからないから、
それが正しいかどうか気にならないんです
……もちろん、間違ってるんですよ。自分でもわからないんですから。
二番目に、ぼくがかけていたメガネは度が入っているんです。
レンズも厚くて、他の人の表情がはっきり見えないし、相手の反応もわからない
――それで思いました、ああ、このやりかたはすごく面白いぞって。

自信がないから安心感がない

――お聞きしてると、とても面白いですね。
だって、他の人の目には、あなたは経験豊かで、大勢の人から認められた俳優でしょう。
それなのに、実際には、演じる時、隠れてしまいたがる。
よく見えない、よく聞こえない、自分が何を話しているかもわからない環境の中に隠れて、
ようやく安全だと思えるんですか?

武 いいえ、実は、あの方言もちょうどよかったんです。
後になって、カメラがぼくをクローズアップすると、
メガネに度があるかないかがわかってしまうということになって、
本物の度の強い近眼鏡を用意して、ぼくにくれたんです。
そのメガネをかけてものを見ると、ぼんやりしてしまう。
相手の表情をはっきり見ようと努力すると、すごく変でぼんやりしてしまうんですよ。

――思い切ってお聞きしますが、安心感が本当にないんですか?

武 ぼくは自信がない、だから当然そういう感覚はないです。

――自信がないんですか?

武 もちろんです。

――あなたに、あまりよくないところがあるなんて思っているんですか?

武 ありがとう(笑)。今はただ、俳優の身分で作品に参加しているというだけで、
でも実は演劇の勉強をしていないから、もちろん自信はありません……

――演劇学校を出ていない俳優はいっぱいいますよ、
香港の俳優はたいていそうじゃないでしょう。

武 そうとも言えない、たくさんの俳優や先輩はみんな訓練を受けてきていました。
ぼくは自信がないと感じるんです。映画は実はとても楽しいもので、
自分のアイディアをその空間に出していくのはとても面白いです。
あなたはどうして自信がないのかと聞きましたけど……

[5]続きを読む

07月07日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る