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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■號外1998年9月号A
ちょっと間があきましたが、98年の「號外」誌の記事の続きです。
メイキングの文章は確認がまだ残っているので、本文を先にアップします。
赤壁戦記さんがアップしてくださった中で、この写真の右ページの文です。

     

PRIVATE EYE
2001 金城武

東京の街路を行く1998年、
人の群を縫うように進まねばならないのは相変わらずだが、
ふと本能に命ぜられ顔を上げると、本来なら木村拓哉の広告がある場所の
半分が金城武に変わっていた。
タクシーに乗れば、左の窓には角川文庫の今年のイメージキャラクター
金城武の写真が張られ、右の窓には「不夜城」の主役の金城武がいる。
地下鉄に降りたら、巨大ポスターが、5つの言語をあやつる金城武が
語学学校のトレードマークになったと告げるのである。

日本の3つの大企業、角川文庫、東映映画、アミューズグループが手を組み、
出版・映画の両方にまたがっての全力の擁護の結果、
わずか10ヶ月で、我々の知っている金城武は、
日本で一番人気のカネシロタケシへと変身し、
10歳以上の日本女性すべてを魅了した。
日本の女性たちは彼の目、熱帯の異国風味あふれる目と、
日本の男たちが失って久しい特質――純真さを愛している。

THE EYES OF INNOCENCE

金城武は今回、日本で100社を超えるマスコミからの取材希望を断り、
ひとり「號外」にのみ撮影とインタビューに半日、捻出してくれた。、
そこで我々はやっと、彼の変化をじっくり観察する時間を手にしたのである。
「彼女たち(日本女性)がどうしてそうなのか、ぼくもわかりません。
何をしたわけでもないのに」
はにかみと、ちょっとうれしそうな笑みが金城武の面にあふれる。
日本女性が老若問わず全国民的に夢中になっていることについては、
金城武は全然わからない。あなたの方はどうなの?
「弁当だと思えばいいです」
弁当? ハンサムな弁当ですな。
「弁当屋のようなもので、若い人も買うし、
年の行った人も買いに来る。わかります?」
ある不思議な理由から、芸能事業と弁当事業は、金城武の論理では、
ごく理解しやすいことで、どちらも商売なのだ。

MIXED CHARISMA

「たいていのことは、縁ですよ!」
金城武は、笑っているともいないともつかない表情を浮かべた。
一転して話題はインドに、そして手塚治虫の四コママンガへと飛ぶ。
インドへは、修行で行ったんですか?
「すごい人でしたよ。ぼくらは要するに参拝団です」
マンガを読むのは、撮影の合間の娯楽として?
「手塚治虫のマンガには、ことわざや古人の言葉や人生を語る言葉がたくさんあるから、
とても面白いんです」

天秤座は常にバランスを求める。
聖地を訪れて喜びを見いだし、マンガを読んで哲理を探る。
ただ、「あなたはどこの人か」ということだけが難しい。
「どこの人間かということは、煩わしく感じるときもあるし、
気にならないときもあります。
中国人かどうかということは、重要と言うなら重要、そうでないと言えばそうでない」
パッと眉根を開いた。
「今は、自分は沖縄の人だと言うことにしています」
長いこと考え続けてきたことに合点がいく、それが成長だ。
金城武の映画での役は、もはやパイナップルの缶詰に諦めをつける少年ではなく、
「不夜城」で、歌舞伎町をさすらう、辛酸をなめた面構えの男なのだ。
役はそうだが、では金城武は?

MAN? BOY?

「ぼくは子どもです」
はっきりとうなずいた。
あなたが主演した「神様、もう少しだけ」の初回はフレンチ・キスで始まったし、
「不夜城」では 山本未来と抱擁シーンがありましたが、それでも子どもですか?
「子どもです」
閉じた口の角をきゅっとあげて、彼は再びしっかりとうなずいた。
もう質問はおしまいというかのように。

男は理想を抱き、少年は夢想する。
金城武は創作をしたがっている。
アルバムを自分で制作したいし、映画のメガホンをとってみたい。
「誰も理解できないような映画を撮るんです」

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04月06日(火)
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