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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■智族GQ12月号A
続きです。
独居者
2007年、北京・門頭溝での「投名状」の撮影は、ちょうど極寒の冬にぶつかった。
彼が現場に着くと、スタッフたちが寒風の中でがたがた震えながら、笑って言った。
「地獄へようこそ。Welcome to hell」
最初は中国語で、2度目は英語で。
一日の撮影が終わるたび、特殊メイク師の劉吉は最新の注意を払って、
この「ひげだらけの賊」から、ひげを1つ1つ外していくのだが、
金城武はあまりに時間がかかるのが辛くて、
テープをつかむと、えいっと一度に取ってしまった。
一度に数千人が登場するあるシーンで、副監督は軍隊をまるごと動員し、
近景で撮る殺戮シーンを指揮した。
金城武は短刀で将軍を倒し、その首(作り物の)を手で掲げる。
血が一滴一滴と首からしたたる。
彼は高みへ駆け昇り、「ウォーー」と叫ぶのである。
首が体から切り離されたばかりらしく見せるため、劉吉は斜面に身をひそめ、
カットがかかるたびに急いで駆け上がって、その頭の中に「血」を注ぎ込んだ。
金城武はその首の持ち主の将軍役の俳優が自分の隣に立っているのを見て、
怖じ気づきながらも面白がって興奮している。
まるで大きな子どものようだった。
化粧室では、水の入った紙コップが灰皿代わりになっていた。
彼はポケットから小さい携帯用の金属の灰皿を出すと、苦労して蓋を開け、
吸殻を突っ込んだ。
俳優・金城武は、昔のことはあまり覚えていないが、
初めて出たドラマのことはいつまでも記憶に新しい。
「草地状元」というタイトルで、撮影は台湾南部の田舎で行なわれた。
四、五十人乗りの大型バスに乗って3時間半、その間はずっと寝ていた。
真夜中に現場に着くと、監督が言った。「なぜ来たんだ、出番はないよ」
出番がない? しかしもう帰るバスがない。
二、三十元払って軽食を食べ、夕飯とし、夜は一人っきりで恐れおののきながら、
四方が全面、鏡のホテルの部屋で眠りについた。
その後も何度も行っては何度も戻った。
やっときた出番は1カット、台詞は「そんなことない」。
30数回繰り返し、監督は何度も台本を投げ捨てた。「まじめにやれ」
金城武は言った。
「そんなことありません」「そんなことないです、すごくまじめにやっています」
「ぼくの台詞も『そんなことない』だったので、
そのときのことはすごく心に残っているんですよ」
彼は情景描写が上手で、手足の動作まで加えて、一生懸命きちんと説明しようとするが、
それはまた、ただ独り言を言っているだけのようでもある。
チャン・イーモウ、チェン・カイコーと一緒に78年、電影学院を卒業した録音技師の陶経は、
金城武の、数少ない大陸映画界の親友だ。
金城武は「LOVERS」のスタッフたちと同様に、彼を陶爺
12月20日(日)
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