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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■ピーター・チャン、涙を流すA
昨日の続きです。
ピーター・チャンは、映画にロマンスを作り出すことに
極めて長けた人であり、またきめ細かな感情をどのように用いれば
観客を感動させられるかを知っている。
しかし、実生活で涙を流すことはほとんどない。
金馬奨での受賞は、ここ数年間で唯一、
彼が感情をコントロールできなくなった瞬間であった。
「そのときはテレビも見ていなかった。
サンドラ・ウーがメールで『終わった、終わった』と伝えてきたので、
授賞式はもう済んだのだと思ってしまい、
そこで黄岳泰と話の続きに入ったんです。
そうしたら突然彼女から電話があり、受賞した、と言うんです。
目が……泣いたというのとは違うんですが、でも、わかりますよね、
つまり目が涙でいっぱいになってしまい、
どうのもこうにもこぼれてしまったというわけです」
「ぼくに言わせれば、『如果・愛(ウィンターソング)』は、
ぼくが最も徹底的に作った恋愛映画であり、
一番心を傾けた映画です。
ところが、なぜかわからないが、あんなに『ラヴソング』を好きな観客が
『如果・愛』を気に入らない、あるいは理解できないんです。
観客にこうこうですよと説明するなんて、当然できませんよ。
観客が映画を理解できないから、
監督が直接観客に説明しなくちゃいけないなんて、
無能の極みだと、ずっと思っていますからね。
しかし、これからも観客とはコミュニケーションがとれなくちゃならない。
『如果・愛』でわかったのは、
観客は、ぼくが好きなものを好きじゃないということでした。
だから、ほら、長年映画を撮ってきたなかで、最大の挫折が『如果・愛』なんです。
稼ぎは多かったけれど、でも僕の中では大きな失敗だと感じている。
それは嫌う人が多いからです。
金像奨では6部門で受賞したけれど、監督賞と作品賞はなかった。
けれど、今まで撮った中で一番気に入っている作品なんですよ。
金馬奨授賞式のとき、ぼくは『投名状』のことで
ものすごいプレッシャーを感じていました。
映画製作であんなにプレッシャーがあったことはなかったです。
撮影中に絶対あれこれ持ち上がるとわかっていたので、気持が大変だった。
そういう状況下で、サンドラが、受賞したよと伝えてきたんです。
以前『ラヴソング』で受賞しているし、そのときも、
今年の『投名状』の受賞のときも、感動して嬉しかった。
でも、感動のあまり泣くことはなかった。
思ってもいませんでした、授賞式の場にいないのに、
賞をくれることがあるだなんて。
後である記者が電話をしてきたんですが、
ぼくが声が出ないでいるのに気が付いて、
『監督、泣いているんですね』と言われて、慌てて否定しました。
こんなことは、本当に生まれて初めてですよ。
ジョウ・シュンに芝居をつけるとき、よく目がうるんだし、
いい映画を見ても感動します。
でも、涙があふれたのは、本当にあのときだけでしたね」 (続く)
(音楽時空 2008.12.9)
BBS ネタバレDiary 22:30
02月15日(日)
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