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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「南方人物周刊2017-4-24」 金城武の隠れ身の術・5
「ときどき、とてもおかしな風になることがあって、
私たちは、あ、また来た、と思います。
でも、私には彼の感じ方を守ってあげたいという気持ちがあります。
彼のことを知れば、自ずと守ろうとするようになるんです」
この保護しようという気持ちは、50歳を過ぎたピーター・チャンと、
30代の許依萌にも生じている。

2000年に日本のNHKテレビが、
金城武の11日間の南極の旅をカメラに収めた。
これは金城武としては稀に見る、
普段の彼に深く切り込んだものであった。
フィルムの中の彼は時に子ども、時に哲学者のようだ。

様々な動物を見かけると、金城武はいつも興奮して大声をあげる。
匍匐前進でアザラシに近づき、アザラシが横たわったまま、
大きな口を開けて氷をかじるのを見ると、
自分も雪を掘って、塊を口にしながら、こう言う。
「アザラシの気持ちがわかったような気がする。
うまい、ほんと、ほんと」
そして、カメラマンにもどうぞと差し出す。

死んだアザラシを見つけ、長いこと黙って見つめながら、
昔、映画撮影のとき、1羽の小鳥が急に死んでしまったときのことを思い起こす。
「助けなくちゃ」と言うと、
スタッフは、大丈夫、まだあと5羽いるから、と答えた。
動物病院も見つからず、彼はただ、小鳥をずっと掌に乗せているしかなく、
温かかったものが冷たく、柔らかかったものが硬くなるのを感じていた。
奇跡が起きるのを期待したが、結局は、その小鳥を埋めてやった。
「こういう仕事は、本当にやりたくない」と彼は言う。

「生きている、人間として。
この仕事が一番成功する、現状態で一番想像できる
ステートメントって何だろう。
ハリウッドの映画スターになって、アカデミー取って、
映画がみんな売れて大金持ちになって、自分の飛行機を持って、
自分の土地を持って、
結婚してもいいし、しなくてもいいし、彼女がいっぱいいてもいいし、
車が10台くらいあって。

で、気が付いたら、50歳とか、60歳とかになり、
それでも、いや、俺は一番有名な俳優なんだよ、とかってなったときに、
どうなんだろうって思うんですよね。
生きているってことを実感したのかなあ、って思っちゃうんですよ」
と金城武は言う。

「動物の生態とか見てみると、生きているんだな、と、思うんですよ。
目的は生きているだけ、一緒に。
ペンギンが山の上から、一生懸命海に行って、魚を獲って食べるのは、
多分幸せじゃないんだけど、幸せだなと思っちゃうんですよね。
みんな、この地球という星に、一生懸命生きているだけなんだなと思う」

金城武は、おそらく、南極で感じたことを実践しているのだろう。
地球という星で一生懸命生きることを。(完)

(ピーター・チャン、リー・チーガイ、呉里璐、許宏宇、許依萌、許月珍、
チュー・イエンピン、そして「一条視頻」に感謝の意を表します)


やっとこの項、終わりました。
最後に謝辞があるのって、珍しいです。特に中国の記事では。
直接、これらの人に取材したんだぞということを示しているんですね。
まともな記事の作り方をしていると思います。


   BBS   ネタバレDiary  20:30

07月05日(日)
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