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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■美麗佳人(marie claire)B(更新)
ちょっと内向的で、気分に左右されやすく、とうとうとしゃべり続けるることもあれば、
一言も発しないときもあるという具合だった。
――葉錦添の見た金城武
このころ、金城武はファーストアルバム「分手的夜裡」を出したばかりだった。
葛さんに見いだされてまだ3年だったが、
その濃い眉と大きな目のおかげで、早くも少女たちの人気者になっていた。
現実には、当時の彼はまだ少年で、歌が好きだった。
だが、その歌を歌うのは、みんなとカラオケに行って思う存分楽しく歌う、というのではなく、
ほとんどは1人録音室の中で、そこにいるのはマイクと自分だけ、
ガラスと黒いカーテンの向こう側には大勢の、彼よりも5歳、10歳、
なかには20歳も年の離れたスタッフたちだけという中でだったのだ。
金城武は当時の自分を振り返って、こう語る。
「あのころは映像制作というのはとても面白いなと思っていました。
CD制作と比べると、CDはどちらかというとアイドル商品のようです。
ぼくは自分の考えを詞や曲にできるだけ盛り込みたいと努力したけれど、
その創作の仕事に、もちろん、誰もが注意をむけてくれるわけではありませんでした。
それに、音楽作りの環境は、どちらかというと、
チームの人たちと一緒に室内にこもってやる創作、という感じがする。
映画はそれと違い、1人1人がそれぞれ互いに働きかけあうことができるという感じです。
それはCD制作では感じられないものでした」
今、この1秒間
この業界で、こういう芸能人に出会うことができたのは
非常に得難い、貴重なことだと思っています。
彼は……とてもいい人で、親孝行で、物事に対し、全然功利的なところがない。
一緒に仕事ができて、とても幸せだと思わせてくれます。
――金城武と長年仕事をしてきたスタッフが語る金城武
金城武が撮影を終え、試着室に戻っている間、
私の前で煙草に火をつけ、吸って吐きだす間、
私は、この1秒間の彼は、本当の彼自身であり、
ネット上に記された、あの無数の単なる名前なんかではないと感じた。
彼は途切れなく話し始めた。
「本当は、人がスターだと言っているだけで、
ぼくは、ただ映像の仕事に興味があるだけなんです。
創作に、少なくとも俳優という立場で参加することができます。
毎日違う人と仕事をするのも1つの勉強ですから。
違う国の人、違う監督、違うカメラマン、違う技巧、どれも勉強になります。
それが物を作り出すことの最大の面白さです。
褒められることは、もちろん誰でも好きですよ。
恋愛物、あるいはコメディーを問わず、
観客が見て気に入る、共感してくれる、それは1つの慰めですね。
しかし、仕事を続けられるのは、映像制作が好きだからこそです」
「以前、写真を始めたころは、何枚も何枚も撮っていました。
でも今は、撮ってもそれで何をするんだ、と思ってしまう。
それでも、撮影や映画製作にはやっぱり興味はあります。
視覚、色彩、表現された画面が組み合わさって、とても面白いものになりますから。
俳優がやりたいと思う映画と、
監督が撮りたいと思う映画は別のものでありうる。
時には、自分がどう演じたいかなんか、全然重要じゃないこともあるかもしれない。
というのは、映画が、第三者の目にどう映るかの方が、多分大事なんですだから。
けれども、この四角い画面は、監督が掌握するもので、
上から撮るか、別の角度から撮るか、すべて監督が決定します。
角度も1つの芸術なんです。
角度が異なれば俳優の演技に60%くらい影響します。
だから視覚というものは、まだまだいろいろ面白いことができるんですよ」
映像制作の話になると、また、うれしくてたまらないという表情になる。
彼は途切れなく語った。
「最近よく思うのは、なんで毎日出番があるのかということ。
普通映画は何日かすると自分の出番はなくなるのに、
どうしてぼくはこんなに毎日毎日撮影所にいるんだろうってね」
彼はまだ話していた。声が流れ続ける。
しかし、私は目の前のこの人を見ながら、
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07月27日(日)
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