ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 米国のイラク開戦から5年、大義はどこにもなかった
 2003年3月20日米英両国軍がイラクの首都バグダッドに激しい空爆とミサイル攻撃を加えてイラク戦争が始まった。フセイン政権はわずか20日後に崩壊した。米国にとっての泥沼はここから始まった。米国がイラクを支配したと言っても所詮は点(都市)と線(道路)でしかない。それは、イラク政権崩壊後の米軍兵士の死者4000人が証明している。

 ブッシュ大統領は「イラクは大量破壊兵器を保有している」「フセイン政権は国際テロ組織アルカイダと連携している」と言ってイラク戦争に踏み切ったのである。この情報のいずれもが、ほかならぬ米国の公式報告で覆されたのだ。すなわち、イラク攻撃の大義などなかったのだ。そして、米国を泥沼に落とし入れたブッシュ大統領ら指導層に、その自覚がないのだから深刻だ。政権が変わることを期待するしかない。

イラク開戦5年 米国の過ちに何を学ぶ
     2008年3月20日日報社説
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イラク開戦5年 米国の過ちに何を学ぶ
     2008年3月20日日報社説
 
二〇〇三年三月二十日、米英両国軍がイラクの首都バグダッドに激しい空爆とミサイル攻撃を加えてイラク戦争が始まった。フセイン政権はわずか二十日後に崩壊した。

 五月一日、ブッシュ米大統領は「大規模な戦闘は終結した」と述べ、事実上の勝利宣言を行った。しかし、イラクでの泥沼の戦闘はここから本格化したといっていい。

 バグダッドでは今月に入ってからも死者数十人を出す大規模な爆弾テロが相次いでいる。世界保健機関(WHO)が今月発表した資料によれば、開戦からの三年間でテロや宗派抗争、米軍の攻撃などに巻き込まれて亡くなったイラク人は十五万人を超える。

☆大義はどこにもない

 〇七年以降も年間二万人前後が死亡していると推定され、実際どれほどの人が犠牲になったのかは不明である。犠牲者の増加は、米国に対する憎しみとなって跳ね返る。一方で米軍兵士の死者は四千人に迫る。

 イスラム教シーア派とスンニ派の対立抗争は収まらず、北部のクルド人支配地域をめぐってはトルコが軍事介入する事態となっている。これが開戦から五年を迎えたイラクの実相だ。

 「イラクは大量破壊兵器を保有している」「フセイン政権は国際テロ組織アルカイダと連携している」。ブッシュ大統領がイラク戦争に踏み切った理由である。そのいずれもが、ほかならぬ米国の公式報告で覆された。イラク攻撃の大義などなかったのだ。

 ブッシュ大統領やチェイニー副大統領は開戦五年に当たって「フセイン政権を排除したのは正しかった」「イラクでの困難な試みは成功した」とイラク攻撃の正当性と成果を強調する。

 イラク戦争で米国を支持、支援しブッシュ大統領を擁護した世界主要国の指導者は、ほとんどが一線を退いた。各国のイラク派遣軍も縮小の一途だ。明らかに米国は孤立を深めている。

☆複雑化する対立構図

 来年一月にはブッシュ大統領は退陣する。自らが始めたイラク戦争に決着を付けられないまま去ることは確実である。これだけでも十分に不名誉だ。大統領がいまなすべきは、「間違った戦争だった」と認めることだ。

 その上でイラクからの段階的撤退に道筋を付けなければならない。米軍なしでイラクの治安を維持するのは不可能に近い。イラク軍は弱体だし警察力も整備途上である

 宗派対立はより複雑になっており、政府の抑えが利かない。スンニ、シーア両派では内部の権力闘争が始まっている。ここにイランやアラブ諸国の思惑が絡まる。混迷する中東情勢を一層悪化させる要因が潜在しているのだ。

 米国はイラク戦争で高まった中東の反米感情に気付かねばならない。タカ派のチェイニー副大統領らは、核問題を抱えるイランへの武力攻撃の選択肢を捨てていないとされる。あくまでイラク戦争を正当化し、教訓を学ぼうとしない姿勢は理解し難い。


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03月22日(土)
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