ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[256609hit]
■刑務所 老人施設化への危惧
11月13日2004年版犯罪白書から刑法犯に認知件数、受刑者が6万を超え定員(5万2783人)を大幅にオーバーしていることを書いた。この収容者数は43年ぶりという感心しない記録なのだ。刑務所の新増設計画も進んでいるが、収容人員の増加は今後も続き、3年後には7万人を超す見通しという。現状でも「独房を2人で使い、6人の雑居房に2段ベッドを入れて8人を収容させてしのいでいるのが実情」(11月15日・毎日から)であるという。
ここでは刑務所の受刑者の年齢別の内訳の視点で、日本社会の一断面を記述したい。収容人員が増加したのは、犯罪の多発で受刑者数が増えたためだけではなく高齢受刑者の急増なのだ。30年前60歳以上の受刑者は、全体の1.6%にすぎなかったのに、昨年末は11%(約6800人)を占めているのだ。大多数は出所後も更生できずに刑務所に舞い戻ってくる窃盗、詐欺の多重累犯者なのだ。本人が悪いと決め付けるのは簡単であるが、日本の社会に再起を認めない傾向があることも原因していると思う。
先進諸国と比べても日本は、高齢の受刑者の割合は突出している。60歳以上の受刑者の割合はフランス3.6%、英国2.8%、ドイツ2.6%で、米国3.1%にすぎない。同じ先進国で日本の11%は突出しているのだ。各刑務所では高齢者のために、衣類や寝具、健康管理なども若年層より手厚くしているという。「刑務所が老人施設化しているのが実情だ」(11月15日・毎日社説から)という。これでは犯罪者に罪を償わせ、教育的処遇で更生を促すという本来の目的から外れ出していると言わねばならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
癒しの森465 2004年11月21日
発芽玄米ごはんのオコゲの薫り
人は記憶に刻まれた味というものがある。私の記憶では、電気炊飯器が大衆に広まったのは昭和40年頃である。年齢からいくと現在50歳以上の人たちは、子供のころ釜で炊いたご飯を食べた記憶が残っているのだ。発芽玄米ごはんの炊き方を指導していると、共通した静かな歓声が上がる。発芽玄米が炊き上がり「見てください。発芽玄米ごはん全体の薫りを出すためには、この程度のオコゲを作る必要があるのです」と言って圧力釜のご飯の攪拌(オコゲを全体に混ぜる)をすると必ず「ワァーオコゲだ!」という声が上がるのである。
一昨日いわき市でも同じ声が上がった。ここでは参加者のオコゲの記憶が鮮明と見えて「ワァー!オコゲだ。オコゲだけ頂戴」という声が5人ほどありアッという間にオコゲ混じりのご飯がなくなってしまった。子供のときに食べた味が鮮明に残っているのである。
私の知る範囲では、日本人が最初の白米を食べたのは、江戸時代の大奥であった。玄米の中に含まれているビタミンの不足で、大奥特有の病気が発生したとの記述を読んだ記憶がある。日本人は古来から玄米を食べてきた。昔の釜は分厚く重い蓋をする。あの蓋がまさに圧力釜であったのだ。そして、釜の底にはオコゲがあったことは容易に予測できる。玄米のオコゲの風味は、日本人の遺伝子に刻まれている風味のような気がしてならない。
・炊き上がり オコゲの薫りに 歓声が 故郷想う 懐かしき味
My追加
11月21日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る