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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■管政権の発足:その期待のの背景は
人事の枝ぶりはどうか。ざっとみて顔触れが若い。固まった閣僚では最も若い蓮舫行政刷新担当相(42)ら40代が4人、野田佳彦財務相(53)ら50代が4人。党も枝野幹事長(46)、玄葉政調会長(同)となる。英国など国際標準からすればまだまだだが、世代交代が進んだともいえる。また、輿石東参院議員会長ら参院全役員を留任させ、小沢氏の補佐役だった細野豪志前副幹事長を幹事長代理に昇格させたのは、リアリズム政治を掲げる菅首相らしい采配(さいはい)だ。
さて、問題はこの「脱小沢」シフトで何をなすか、である。
◇「カネ」のけじめつけよ
まず指摘すべきは、「政治とカネ」のけじめであろう。小沢氏は最低でも政治倫理審査会で自らの問題について釈明すべきだ。昨年の政権交代以降、この問題でどれだけ国政の円滑な遂行が妨げられたのか。進んで出席し、チルドレンたちに大政治家の懐の深さを見せてほしい。鳩山前首相も「とことんクリーンに」と言うからには、国会のしかるべき場でけじめをつけたらいかがか。代表選に立候補した樽床伸二・新国対委員長の腕の見せどころになる。問題の根底にある企業・団体献金の禁止に踏み込む好機にもなろう。
実現すべき理念、政策の再整理、見直しも必要となる。衆院選のマニフェストにうたったもののうち、何を優先的に実現し、何を先送りし、何を取りやめるのか。そして、何を新しく付け加えるのか。菅首相が打ち出した「強い経済、強い財政、強い社会保障」は、どのような政策体系として結実するのか。やるべきことはあまりにも多く時間は少ない。陣容を固めた以上は、この終盤国会の閉じ方をはじめとした参院選までの工程表を速やかに決め、わかりやすい政治を心がけてほしい。
毎日新聞の緊急世論調査(4、5日実施)によると、菅首相に「期待する」との回答は63%で、「期待しない」の37%を大きく上回った。国民は民主党政権に2度目のチャンスを与えるかどうか、菅政権の一挙手一投足を注視している。忘れてはならないのは政権の政策実行力である。鳩山政権にはこれが欠けていた。政治主導といいながらなぜ官僚を使い切れなかったのか。連立を組んだ小党になぜ振り回され続けたのか。二つの太い幹をどう生かすのか。選挙目当ての半端なお飾りでは、たやすく見抜かれるだろう。
毎日新聞 2010年6月8日 2時30分
06月09日(水)
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