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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ リーマンの破綻、どうなる米金融業界
株価がどこまで下がるのか注目している。大きく下げれば、企業の設備投資、そしてある程度、個人消費にも悪影響があろう。最終的なインパクトという点では、米国株価下落で米国経済が悪化すること。リセッションはぎりぎりで避けられるとの見方が今は多いが、それが崩れると、日本の輸出落ち込みもありうる。
とりあえず日銀が動く状況ではないが、ありうるとすれば国際協調利下げだろう。ただ、この可能性は大きくないとみる。
●他金融機関への波及リスク、予断許さず
<第一生命経済研究所主席エコノミスト 熊野英生氏>
リーマン・ブラザーズが連邦倒産法11条(チャプター・イレブン)を申請し、再建過程に移行した。その損失確定の余波が他金融機関に波及するリスクは予断を許さない。米財務省は、各金融機関との緊急会合を持って、破たん回避を模索したが、それには成功しなかった模様である。実際に金融機関を破たんさせたことで、各種市場にリスクプレミアムを現出するのが怖い。
驚くべき展開は、リーマン救済の候補として名前が挙がったバンクオブアメリカが、米証券会社第3位のメリルリンチを救済合併することを決めたことだ。バンクオブアメリカは、リーマン・ブラザーズの有力引き受け先とみられていただけに、急転直下という印象が強い。これは、リーマン・ブラザーズの救済が何らかのかたちで一段落しても、次に問題視されるかもしれないという不安があって、先手を打って守りに入ったという解釈が成り立つ。市場全体が疑心暗鬼に包まれたとき、実体面で状態が悪化していなくても、悪い噂が危機の連鎖反応を起こす可能性がある。従って、ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズと続き、さらにその次とされないように金融再編が進んでいくのだと考えられる。
同じタイミングで、保険会社大手のAIGも、連邦準備理事会(FRB)に緊急融資を申し込んだとされる。こうした金融機関の対応は、金融不安の第二幕(住宅公社問題を入れると第三幕)を先んじて予想するから、自らがセカンドベストの戦略を能動的に採ろうということなのだろう。今後、FRBが利下げに踏み切るとか、財務省などの主導によって公的資金を活用する別の仕組みが、危機封印のために動員される可能性がある。
●景気下振れリスク高まる
<JPモルガン証券・シニアエコノミスト 足立正道氏>
米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)の破産法申請に伴い、景気に対する下振れリスクが高まっており、当面はポジティブな材料が出てくるとは考えにくい。
金融の問題が実体経済に波及し、実体経済から金融に再び波及するという悪循環が一段と加速するリスクが高まっている。米国経済の鈍化だけでなく、エマージングを含むグローバル全体がかなり厳しい。
今回の件では、公的サポートはなく自助努力しかないとの認識が広がり、市場参加者はリスクに対して更に敏感になり、投資を抑制するなど資金の流れが弱まることになる。マーケットの動きに比べて、当局の動きが後手に回っているという観点からみると、日本の1990年代前半に似ているといえる。
唯一得られるポジティブな状況を想定すると、中国は利下げを始めており、今後はグローバルな利下げのようなものがあるのかもしれない。だが、当面はかなり不透明感が強い。
今回の日銀金融政策決定会合では、利下げは考えづらい状況だが、日本経済に下振れリスクがあるのは間違いない。
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09月16日(火)
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