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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■中越沖地震の記録 (21)
 中越地震からわずか二年九カ月後に起きた今回の大震災は、地震に関する常識を覆した。ほぼ同じ地域を、マグニチュード(M)6・8クラスの激しい揺れが襲うなど、県民ならずとも予想しなかったはずだ。
 中越沖地震の震源は日本海海底の活断層と推定される。この地域は国の地震観測強化地域に指定されている。異常が見つかったら、観測を強化することになっている場所である。異常どころか、いきなり震度6強だ。評価が甘いといわれても仕方あるまい。
 地震の巣である活断層は、全国に二千以上あるといわれる。国はそのうち長さが二十キロ以上で活動が活発な百十の断層を重点的に調査している。県内には長岡平野西縁断層帯など七つが存在する。「長岡」の最大Mは8・0前後と想定されている。
 今回の地震と「長岡」の関連は不明だ。中越地震を起こした活断層は地震の後「活発な断層」とされた。阪神大震災や能登半島地震なども活断層が活発とは認識されていなかった。
 日本列島のあらゆるところに大地震の危険性が潜んでいる。国はこのことをきちんと周知すべきだ。
 国の地震予知や震災対策の大半は、太平洋岸の東海、東南海で起きるとされるプレート境界型の巨大地震に備えてのものだ。想定される被害の大きさや産業への影響を考慮すれば、そこに力点を置くのは当然だろう。
 プレートの動きは活断層にひずみをもたらす要因でもある。一層研究を深めねばならない。
 だからといって、活断層の研究や対策がおろそかになっては困る。近年大きな被害をもたらしている地震は、いずれも活断層のずれによるものだ。活断層評価の精度を上げ、国民に適切な情報を伝える方策を急ぐべきだ。
 今回の地震では、緊急地震速報の有効性が確認されたと気象庁は評価している。確かに新潟市などでの実証試験では本震発生の約十秒前に速報を受信している。だが、震源に近づくほど速報と本震の時間差はなくなる。
 地震の前触れとなる波動は、秒速約六キロで進む。震源から十キロ以内では緊急速報はほとんど役に立たない。活断層型地震への対応は、この面でも極めて脆弱(ぜいじゃく)である。
 原発や新幹線、高速道路なども直下型の大地震にどこまで耐えられるか未知数だ。活断層地震の予知は不可能とされる。どこに活断層が横たわっているのかさえ定かではない。
 これでは国民は安心できない。緊急に全国の活断層調査を行うよう強く要請したい。安全と安心の確保は国政の最重要課題である。後追いの対策に終始してはならない。
                     [新潟日報7月26日(木)]

07月31日(火)
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