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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■中越沖地震の記録 (18)
11、社説  原発の安全規制に独立機関を(7/27・日経)
 地下は水浸しで、天井のクレーンは軸が折れていた。地震発生から10日が過ぎても、点検が進むにつれて、柏崎刈羽原発では新たな損傷やトラブルが次々に見つかっている。

 周辺の旅館やリゾート施設の予約キャンセルや、イタリアのサッカーチームの来日中止など、いわゆる風評被害もじわりと広がっている。原発の安全に第一義的な責任を持つのは、事業者である電力会社だが、国の安全規制当局が、安全確認やトラブル評価の情報をわかりやすく発信すべき時期ではないだろうか。炉心から放射能漏れはなく、原発の耐震性は実証された、などと繰り返しても、住民の安心は得られまい。

 使用済み燃料プールから水があふれるなど、リスク管理の常識を覆す事象も多い。圧力容器のふたを開けて、肝心の炉心の健全性を確認する作業も急がねばならない。

 今回の地震で学んだのは、監督官庁も電力会社も、原発に関する様々なリスクを過小評価しがちだという事実である。海底断層の評価、想定地震動の強さ、いずれも地震国日本の現実に比べてリスクを過小に評価してきたことは明らかだ。役所と事業者に一部学界まで巻き込んで、原子力分野は産官学ともに世間の常識とは少々ずれた仲間内の理屈、「ムラの論理」が随所に顔を出す。

 変圧器が炎上しても、使用済み燃料プールから水があふれても、クレーンが損傷しても、炉心が壊れて大量の放射性物質が周辺に飛散する最悪の事態にさえ至らなければ、原発は安全と言い切ってしまうのが、典型的なムラの論理といえる。

 私たちは日本の原発が健全にその役割を果たすために、安全規制を担う原子力安全・保安院が、原発推進役の経産省の傘下にあるという、矛盾した関係を解消するよう、提言してきた。推進と規制を同じ役所が受け持つのは無理がある。今回の地震でも、原子力安全・保安院は現地に10人近いスタッフを常駐させていたのに、その存在感は住民や国民に伝わっていない。安全規制機関にとって組織的独立は決定的に重要だ。

 リスク評価機関としての原子力安全委員会は、内閣府に設置されているが、人員が不足している。新潟県知事や柏崎市長が国際原子力機関(IAEA)の調査参加を希望したのは、安全委や保安院に対する国民の信頼度が低いことを示している。

 米国の原子力規制委員会は3000人を超す専門家を抱える独立機関で、フランスも昨年、安全規制機関を法的に独立させた。安全機関の独立は、原子力大国の要件ではないか。

07月28日(土)
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