ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■管政権の発足:その期待のの背景は
 米国のITバブル、住宅バブル崩壊に続き、欧州でも一部の国の住宅バブル崩壊が経済への打撃となった。新興国のバブルも懸念されている。バブルが崩壊すると、財政出動も切り札にはならず、悪影響は長引く。主流派の考えに疑問符がつくのは当然だ。
 金融・財政政策は、その国の状況に応じて行うのが基本である。しかし、規模の大きな国や地域が低金利を長く維持すると、国際的な資本移動を通じて他国のバブルを生み、結局は、自国もしっぺ返しを受ける。
 金融政策だけではバブルを防ぐことが難しいが、各国の規制や監督も組みあわせ、バブルを小さくしなければならない。だから金融政策や監督体制は、世界的な視点と協調が重要だ。
 そのためにもG20などの会議の場で、財務相や中央銀行総裁たちが率直に意見を交わし、認識を共有する努力が欠かせない。
 日本にはこの点、大きな疑問符がつく。1年間で首相が3人目、財務相が4人目。異常さを今度こそ克服しなくては、世界の信頼を失う。
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社説:菅内閣きょう発足 「脱小沢」で新しい政治を
毎日新聞 2010年6月8日 2時30分

 今度こそは期待を裏切らないでほしい。菅新内閣が8日発足するが、多くの国民の気持ちはそんなところにあるのではなかろうか。
 人事には幹と枝があるという。ほぼ出そろった閣僚、党役員の顔触れを見ると、二つの大きな幹がある。第一に、小沢一郎前幹事長の影響力排除、すなわち「脱小沢」の徹底を図った。枝野幸男前行政刷新担当相を幹事長に、仙谷由人前国家戦略担当相を官房長官に起用したことに端的に表れている。
 ◇枝野幹事長の衝撃
 幹事長は国会対策、選挙の全権を握り、官房長官は内閣の政策調整、スポークスマン役として、政権の両輪となるポストである。その政権の命運を握る要の座に反小沢色の最も強い2人を充てた。反小沢「七奉行」と呼ばれる次世代政治家が政府、党の要職にすべて納まったことも、菅直人首相が「脱小沢」に明確なかじを切った証しだろう。
 鳩山由紀夫前首相が刺し違えで小沢氏をもダブル退陣に持ち込んだ意図を考えてみれば、次を引き継ぐものとして当然の措置だろう。何よりも、小沢氏を党のトップに抱いた構図は、袋小路化した「政治とカネ」、党と内閣の権力二重構造、選挙至上主義的な政策的行き詰まりなど、このまま継続するには相当な無理がきていた。この際、重しのようにのしかかっていた小沢カラーを一掃して、透明性と熟議を売りにする本来の民主党らしい布陣で新しい政治を展開すべきである。
 特徴の第二は、党政調会の復活と政調会長の国務大臣兼務だ。政治は生き物である。マニフェストで信任を受けた政策を実施するのは当然だが、それだけでは政治家は要らない。常にマニフェストを進化させつつ、選挙後に発生する予期せざる諸課題に政府与党がどう政策を煮詰め、機動的かつ柔軟、一体的に実行できるのかが真の政治力だ。現在の財政危機、安全保障問題はまさに選挙後に一段と顕在化したものである。
 もちろん、発足前の鳩山政権にこの問題意識はあった。党の政調部会が政策を事前承認しなければ政府の身動きが取れなかった自民党政権時代の悪習を改め、党政調会長に閣僚を兼務させ常に政府与党が一体的に政策決定する、という仕組みを導入しようとして、これまた小沢氏にけられた経緯があった。
 今回は、玄葉光一郎衆院財務金融委員長が党政調会長と公務員制度改革担当の国務大臣を兼務する。最も国民に近い立場にある国会議員たちが時代の変化を敏感に感じ取り、それぞれの問題意識をボトムアップで政策に高め上げていく過程を期待したい。陳情の一元化や公共事業個所付け、道路問題で見られた旧来型「政官業癒着」の政治手法ともおさらばするチャンスでもある。

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06月09日(水)
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