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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ メタボ法
「社内で感覚を共有しているスタッフは『自分も会社の一部』と思って日々、自己管理している。そういう社員が多ければ、ブランド力も強くなる。メタボであるかどうか以前に大切だったのは、彼がウチの『美意識』と合うかどうか、でした」
スタッフの「美意識」が徹底しているブランド企業として、手本にしているのは「スターバックス」だ。だが、ブンタさんの会社でも店舗数が増えるにつれて、従業員の「質」の確保が難しくなった。
「スタッフのメタボ比率が高い飲食チェーンは明らかに無理をしている。業績や人事に課題を抱えている、と言っても言い過ぎではありません」
サービス業で、新卒採用担当社員に就職活動時期前のダイエットを促す会社は少なくない。ブンタさん自身、「行列のできる」競合他社からの転職の誘いを断ったことがあるが、理由は人事部長がメタボだったから。会った瞬間、「自分には合わない会社」と悟ったという。
●プレゼンタブルな人材
外資系企業に管理職を紹介しているヘッドハンターの小松俊明さんによれば、「メタボ先進国」の米国でも、太っていることを理由に人事面で制約を与えたり、検査や対策を課したりすることはタブー視されている。その代わり、ある基準を用いて採用選考で未然に「防止」するのだという。
「優秀な人材を見極める時には『プレゼンタブル』かどうかが問われる。つまり、『人前に出しても大丈夫か』。それを追求する姿勢の持ち主が、企業から好まれるのです」
外資系では金融業界が代表例。幹部のメタボ率は低い。自ら広告塔を担い、マラソン出場などの健康的な「武勇伝」を語る。「ソニー出井社長」が登場した1995年あたりから、日本の名門企業でも「重長厚大」体形の経営者が表舞台から消えた。
小松さんは相談者がたとえ小太りでも、身だしなみを整えるよう促すという。
もはやメタボは出世できないのか。大阪大学の研究によれば、低所得者と高所得者のBMI(体格指数)が高く、中間層が低い。現時点ではメタボと出世の関係は見えにくい。ただし、メタボ健診の開始で仕事のできる高所得者からやせていけば、「高BMIは低所得」の米国型に変わる可能性はある。
少数でもメタボ社員がいれば、全社で連帯責任を負うのがメタボ健診の仕組みだ。5年後に「成績」が悪ければ、健保組合が後期高齢者医療制度に拠出する支援金は増額される。それは、保険料の値上げにもつながる。
メタボ健診の法定対象年齢(40〜74歳)を引き下げて、「予備群」も監視の対象とする企業も現れた。トヨタ自動車は36歳から、NECは30歳からに設定している。
サンスターでは昨年からメタボ社員を、「心身健康道場」なる施設に強制入所させている。2泊3日の合宿で山歩きや座禅を課し、低カロリー食で生活改善を促す。初年度の参加者は100人にのぼった。
特に接待が多かったり、不規則な勤務を強いられたりする業界は、戦々恐々としている。ある大手企業の健保職員はあきらめ気味に、こうもらす。
「成果が期待できないメタボ対策のため他の予算を削減するぐらいなら、おとなしく『罰金』だけ払ったほうが安いのでは?このままでは対策費が保険料で賄えず、統廃合せざるを得ない組合も出るのではないか」
●女店長メタボ化の法則
前出の大阪大学の研究メンバー、池田新介教授(経済学)は指摘する。
「メタボが本当に問題なら、コスト上昇分はメタボ本人に転嫁するのが経済学的には望ましいでしょう」
もはやメタボはエコやうつのように、会社の将来を揺るがす経営リスクなのだ。
あるカジュアル衣料品チェーンの店長は2割弱が女性。社員の間にはこんな法則がある。
「女店長はみなメタボになる」
入社7〜8年目。お年ごろの彼女らは出世と引き換えに激務とストレス太りを受け入れる。それを克服できる女性が「勝ち組」になるという皮肉がある。
ちなみにその店には「メンズ」が少ない。「ユニセックス」とすれば、メタボの女性客に大きめの服を薦めやすいからだ。
繁盛店を任された女性店長は、
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05月09日(金)
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