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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 中国 チベット暴動 (2)
中国の支配に抗議するチベット仏教の僧侶らのデモは10日に始まった。ダライ・ラマのインド亡命につながった1959年の「チベット動乱」から49周年にあたる日だ。
14日に抗議行動はエスカレートし、ラサ中心部のチベット仏教の聖地、ジョカン寺(大昭寺)周辺の繁華街で火災が発生した。警察車両への焼き打ちも起きた。新華社は、公安当局が催涙弾や威嚇射撃で対応したと伝え、10人の死者は「善良な市民で、焼死した」としている。
新華社によれば騒乱は15日には終息した。ただ、当局はジョカン寺などの周辺をなお封鎖しているとの情報もある。外国メディアの現地入りを原則禁止するなど当局が厳しい情報統制を敷いているため、実情はよくわからない。
ラサでの大規模な騒乱は、戒厳令の実施にまで発展した1989年の「動乱」以来、ほぼ19年ぶりだ。5カ月後の北京五輪をにらみ、国際社会にチベット問題をアピールする思惑があったとみられる。
北京では5日から全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開かれている。今年の全人代は胡錦濤国家主席(共産党総書記)の後継者候補である習近平氏を国家副主席に起用する節目の大会で、胡政権の揺さぶりをねらった可能性も大きい。
実は89年の「動乱」では、当時チベット自治区のトップだった胡錦濤氏が自ら制圧を指揮した経緯がある。再び流血を防げなかったのは、胡政権にとって打撃だ。
地元の当局者はダライ・ラマが関与した組織的、計画的な暴動だと一方的に非難した。半面、ダライ・ラマは声明を発表して「深い懸念」を示すと同時に、当局と市民の双方に自制を求めている。
89年にラサで戒厳令が施行されたあと、北京では学生たちの民主化運動を武力で制圧する天安門事件が起きた。日米欧は対中制裁に踏み切り、中国は国際的に孤立した。
北京五輪をひかえて中国の人権状況への国際的な関心が改めて高まっている。中国はいまや世界経済のけん引役で、国際的に孤立するようだと影響は大きい。人権への配慮を欠いた中国当局の高圧的な対応を憂慮する。
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中国:五輪控え政権にダメージ チベット暴動
毎日新聞 2008年3月15日
【北京・大谷麻由美】分離・独立運動がくすぶる中国西部、チベット自治区の区都ラサで14日、チベット族による暴動が発生したことで「新中国成立以来、最大の国家イベント」とされる北京五輪を8月に控えた胡錦濤指導部が大きなダメージを受けるのは必至だ。
また、北京では全国人民代表大会(全人代=国会)が開催中でもあり、今年の全人代で2期目に入る胡錦濤指導部が今後、国内の安定にどのように対処していくか。国際社会は中国の人権問題と絡めながら、これまで以上に監視を強めていくとみられ、新たな対中摩擦になる可能性もある。
胡錦濤政権は「調和の取れた社会」実現を国内外にアピールしてきた。これは地域格差の解消、安定した国際環境を整えることにあるが、5月に予定される胡主席の訪日時にも、国際人権団体などの大規模な抗議活動が展開されそうだ。
チベット自治区や隣接する青海省では、インド亡命中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世を敬愛する住民が現在も多い。
中国当局はチベットへの鉄道敷設などインフラ整備を進め、「アメ」を与えるとともに、ダライ・ラマ14世の関係者と水面下の交渉も加速化し、懐柔策も取る一方、分離・独立運動への取り締まりを強化するなど「ムチ」も同時に続け、チベット統治に自信を深めていた。それだけに今回の暴動に大きな衝撃を受けているのは間違いない。
14日は中国政府がチベットほか、新疆ウイグル自治区、台湾などの分離独立を封じ込めるために設けた「反国家分裂法」の制定からまる3年。また10日は、ダライ・ラマ14世が亡命するきっかけとなった1959年の中国軍によるチベット武力鎮圧から49年目だった。
中央政府への反発を強める分離・独立運動が「記念日」に合わせて行動を起こした可能性も否定できない。また、台湾では22日に総統選が控えており、台湾の独立を求める団体と連動した可能性もある。
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03月17日(月)
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